＜人に磨きをかける＞
　――ほかに、何かまだ欠けている部分があるとしたら、どういうところになりますか。

　澤田　やはり、まだまだ人の教育と言いますか、それをしないと本当のサービス、クオリティが良くなりませんね。ちょっと油断するとすぐ落ちます。それはすぐ感じます。お客さまは敏感ですから、すぐに感じて、「味が悪くなった」とか「サービスが悪くなった」と。そうすると減ってしまいます。ですから、まだ大変ですね。

　――ハコがどれだけきれいでも、やっぱり人なんですね。

　澤田　そう、「人」です。ですから、本当にそこまで人に磨きがかかったら、私はいらなくなりますよね。私がいなかったらレベルが落ちるようでは、まだまだです。ただ、まだまばらですね。本当に良いサービスをしている人、頑張ろうとしている人もいれば、仕方ないからやらなくちゃいけないという人もいたり、これはまだ相半ばですね。

　――成功体験をすることができたとは言っても、これまでそうじゃない時期の方が長かったわけですからね。

　澤田　これからだんだん環境が良くなってきて、待遇も良くなって、いずれ長崎一の環境とボーナスが出るようになったら、そして若手がもっと入ってくるようになれば、変わるのではないでしょうか。ただ、まだ時間はかかりますね。

　――やはり、しっかりと生活の安定につながるという安心感がモチベーションにつながったりもしますからね。

　澤田　ただ、安心感はいいのですが、それにぶら下がりになってしまうと、良くありませんね。常に若干の危機感を持つことも大事です。

＜広大な実用実験場＞
　――澤田社長から見られて、このハウステンボスの場所の良さは何かありますか。

　澤田　ここの良さはですね、モナコ公国に近いくらいの広さがあり、しかも私有地ということです。ということは、１つの都市や国家と一緒なんです。私有地ですから、この場内では自由にやれます。もちろん悪いことはダメですが、場内に入れば規制がありませんから、いろいろな実験ができるということです。研究所で研究していても、実際に使ってみたら効率が悪いとか、生産性が悪いとかありますが、そういうテストが全部ここでできるわけです。そういう場所って、あるようでいて、案外ないのです。ですからここで我々は、スマートハウスをつくってみたり、今度スマートホテルを建てたりと、広大な実験ができるんですよ。ほかにもいろいろな実験をやっていますし、イベントもここで実験をやります。そして、ここで流行ったイベントは、言い換えれば全国でも通用するということです。

　――全国で通用するというのも、今回の大阪のイルミネーションで実証されているわけですね。

　澤田　そうです、非常に評価が高いですね。やはり、ここは広大な実験場になるんですね。そして、実験場で成功したものは、いずれ全国、ひいては世界で使われる可能性があるのです。ですから、ここから発信していけばいいのです。ここで実験をした良いものを全国に、世界に発信していく。そして、ここでまた実験をやるんですよ。失敗すれば改良もしくは、中止すればいいんです。このイベントをやって喜んでもらえたとか、この技術は耐久力がないとか、反応がすぐわかりますから。いろいろなことができます。場内での反応は、いわばテストマーケティングです。テストマーケティングで成功したものは、全世界で使えるというわけですから。ものは考えようです。ここからいずれ、すばらしい技術を世界に発信していきますよ。

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