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「NISA」(ニーサ)に潜むリスクを検証する(12)
経済
2014年1月29日 07:00

 先にNISA(ニーサ)のメリットについて触れたが、個人投資家にとって良いことばかりではない。あくまでも投資であり、デメリットにはリスクも潜んでいる。以下どのような問題点があるのかについて考察していくことにしたい。

2.個人投資家のデメリットについて

(1)NISAからの利益は非課税になる代わりに、損失もなかったものとされる。通常、上場株式等の売却損は、その年の譲渡益や配当と損益通算したり、損失を翌年以降3年間繰り越したりすることができるが、NISAは前年から繰り越されてきた繰越損失は通算できないことだ。

(2)NISA口座から特定口座や一般口座に移管した場合、取得価額が移管したときの時価に変わるため、NISAで損失していても移管後に売却益が出た場合は課税の対象となる。

(3)口座開設は20歳以上で、1人1口座を保有することができるが、ただ一度開設すると、その設定期間内は他の金融機関で口座を開設することができない。 その口座の設定期間は、

◆2014年~17年
◆2018年~21年
◆2022年~23年

 の3回に分かれており、この設定期間内で1回しか口座を開設することができない。その間NISA口座を開設している証券会社・銀行とトラブルが発生したとしても、よそで口座開設することができない仕組みになっている。

(4)金融機関によって商品やサービス内容が違う。証券会社でNISAを利用する場合は、上場投資信託・上場(含む外国)株式・上場投資信託(ETF)、また上場REIT(不動産投資信託)など幅広い商品が対象となるが、銀行が取り扱えるのは上場投資信託に限定されており、NISAが証券会社にとって如何に有利な商品であるかということがわかる。
 そのため銀行でNISAを開設し、1年目に上場投資信託に投資し、2年目に上場株式に投資しようとしてもその期間中は他の金融機関に移管できないため、既に銀行で口座開設を済ませた投資家は、2017年まではNISAで上場株式の投資はできないことになる。
 まだNISA口座を開設していない投資家は、どのような投資をするかというしっかりした考えをもって金融機関を選別しないと後々後悔することになる。
 また手数料が各金融機関によって違う点も注意する必要がある。折角リスクを負って利益を出しても、その大半を証券会社や銀行に持っていかれては意味がないし、損失を出した上に更に高い手数料を払うようになったのでは、元も子も失うことになりかねないからだ。

(5)一度商品を売却したら「非課税枠」を再び使うことはできない。つまり50万円ほど投資し、その後株式市況が悪いからと言って残りの50万円の枠をそのまま使わなかったら、通年以外には繰り越すことができないことになっている。

(6)現在特定口座で運用中の商品をNISA口座に移すことはできない。要するに「NISA」は特別口座であり、デパートでいうところの「他の商品への交換はご遠慮願います」との制限つきである。

(7)配当の受け取り方法に制約がある。
 これもNISAを取り扱う証券会社・銀行で、「株式数比例配分方式」の手続きをしないと配当が非課税にならないようになっており、NISAが業界の都合で作られた商品であることを如実に示している証拠かもしれない。

(つづく)
【北山 譲】

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