<「観光ビジネス都市」へ>
――イルミネーションしかり、スマートハウス、スマートホテルしかり、そういう実験を積み重ねる場になっていくわけですね。テーマパークというものから、一歩進めた考え方ですね。
澤田 「観光ビジネス都市」にしたいというのは、そこなんです。観光というのはテーマパーク。ビジネスというのは、ここから新しいビジネスがぞくぞくと出てきて、全国、世界に売り出していくこと。その実験ができる場所ですから、すばらしいのです。こんなすばらしいもの、何でみんな今までやらなかったのかな、と思って(笑)。
もちろん実験場とは言っても、ここはお客さまに感動していただく、楽しんでいただく、喜んでいただく場所です。お客さまが感動するものや楽しんでいただくものをやっていたら、こちらも楽しいじゃないですか。そして、お客さまに喜んでいただけると、やっぱり嬉しいじゃないですか。ですから、これは良い仕事ですよ。すばらしい仕事だと思います。
――こうなると、もはやテーマパークの経営というより、都市国家の経営ですね。
澤田 そうです。そして、ここから世界に通用するものを発信していったらいいんです。だから面白いでしょ。可能性が大きいから、面白いと思いますよ。本当にそういうことを考えてやっていけば、いずれ九州一儲かる会社になりますよ。その可能性は秘めていますよ。もちろん、そんなに簡単ではないですが。
たとえばアクセスの問題も、ここから5分のところに飛行場をつくったら解決ですよ(笑)。
<成長のため挑戦続ける>
――多くの人は、新しいことや未知の分野に対して二の足を踏んでしまうと思いますが、澤田社長はどんどん未知のところに取り組んでいらっしゃいます。
澤田 やはり常に新しいものにチャレンジしていかないと、時代に合ったもの、もしくは新しいものは生まれて来ないわけです。チャレンジをしなければ、退化していき、硬直化していきます。そして、発展しなくなって、時代に合わなくなっていくんですよ。だいたい、ダメになっていく会社はそうですね。国でも一緒。チャレンジしないと、新しいものはできないですよね。やはり、何かの発明もそうだけれど、失敗の繰り返しで、それで新しいものを発見したり、発明したり、そして新しいことをつくっていくわけですから。チャレンジせずに新しいものはできません。
ただし、チャレンジするということは、失敗の確率が高まるということですね。何もしない方が失敗はしません。けれど、進化が止まります。進化が止まるということは退化するということ。そうするといずれダメになっていきます。人間も成長していきますが、成長が止まったときに老化が始まるじゃないですか。同じように、企業も国家も、成長か老化かしかありません。成長し続けるためには、たゆまぬチャレンジをしていかなければなりません。
――成長し続けたいなら、チャレンジをしろ、ということですね。
澤田 そうです。失敗を恐れずに、新しいことにチャレンジをすることです。ただし、致命傷になるような失敗はダメです。たとえば会社が潰れるとか、人命に係わるとか、安全に係わるとか、それはダメですよ。死んでしまったら終わりですから。
――最後に、2014年に向けての抱負を一言お願いします。
澤田 今後は、もう少しデザイン性とかクオリティ性を、芸術的にしていきたいですね。たとえばイルミネーションの光なども、量はありますけれど、今はまだ芸術性に欠けるんですよね。量も大切ですけれど、今後はもっと芸術的にすばらしい光を放つとか、デザインのもっと良い光に変わっていくとか、今までとは違う光らせ方をするとか。もっとそれに磨きをかけたいですね。
あとは、もっと若いスタッフを増やして、サービス、クオリティを上げていきたいですね。小国だけれど、すばらしい技術と文化とイベントに、いろいろと取り組んでいきます。
≪ (3) |
<プロフィール>
澤田 秀雄(さわだ・ひでお)
1951年、大阪出身。73年、旧西ドイツ・マインツ大学留学。帰国後の80年、エイチ・アイ・エスの前身となるインターナショナルツアーズを設立。96年、オーストラリアにThe Watermark Hotel Gold Coastをオープン、会長に就任。同年、スカイマークエアラインズ(現・スカイマーク)を設立。その後、証券業などにも参入。2003年、モンゴルAG銀行(現・ハーン銀行)会長、2007年、澤田ホールディングス(株)代表取締役社長に就任。09年、エイチ・アイ・エス代表取締役会長、10年、ハウステンボス(株)社長。11年、HTBクルーズ(株)会長、12年、公益財団法人東京交響楽団理事長、13年、公益財団法人松下政経塾評議員に就任。
※記事へのご意見はこちら