福岡銀行を含む北海道から九州の有力9地方銀行は28日、全国規模で情報交換し、各行が個別に融資する地元企業に対し、互いに遠隔地にある新たな取引先を紹介したり、企業の合併・買収(M&A)を支援したりする業務提携を結んだと発表した。
連合体の名称は「地域再生・活性化ネットワーク」で、地域金融機関による同様の連携態勢としては過去最多になるという。
提携する9地銀を地域別で見ると、
北海道・東北 北海道(札幌市)、七十七(仙台市)、
関東・甲信越 千葉(千葉市)、八十二(長野市)、静岡(静岡市)、
近畿 京都(京都市)、
中国・四国 広島(広島市)、伊予(松山市)、
九州 福岡(福岡市)
北は北海道から九州までの有力地銀がこの大型提携に踏み切ったのは、三菱東京UFJ銀行や三井住友銀行などのメガバンクに対抗し、各行が保有するきめ細かな地域情報を持ち寄り、連携して地域経済の再生と活性化を図ることが目的だ。
従来、近隣の地銀同士が情報交換などで連携する例はあったが、全国規模で多数の銀行が手を組むのは初のケースとなる。
9行は、地元企業が別の地域に進出する場合などに、企業のニーズに応じ協調融資や工場建設の立地など、企業の了解を得ながら情報提供し合うことにしている。9行は融資参加などを個別に判断することになるが、大半は協調融資に参加することになりそうだという。
一般に、地方の中小企業などが地域を越えて新たな取引先や提携先を見つける場合、時間がかかるケースが多い。このため9行による「地域再生・活性化ネットワーク」によって、企業の仲介業務を通じ、創業期に必要な事業支援や成長期の経営改善の提案などに、地域連携で迅速に取り組むことができるようになり、企業にとっても大きなメリットとなる。
これまで広域に及ぶ対応は個別行では難しいため、みすみす大手行に奪われていた数十億円規模の融資案件も引き受けることが可能になるという。福岡銀の田上裕二総合企画部長は、「この提携によって、営業面でもメガバンクに負けないよう新たな収益機会としたい」とコメント。
金利低下による利ざや収入の減少や少子高齢化にともなう地域経済の縮小傾向によって、地銀を取り巻く経営環境は一段と厳しくなっている。今回、全国規模で多くの銀行が本格的に手を組むことで、メガバンクだけでなく西日本シティ銀行など九州・山口におけるその他の地銀の戦略にも大きな影響をおよぼすことになりそうだ。
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