<あなた自身があなたのまちです>
「第3回日本まちあるきフォーラムIN北九州」は、2013年10月5、6日に北九州市小倉北区にある北九州国際会議場を拠点として開かれました。筆者もこれに参加したのですが、それは盛大なイベントでした。基調講演は、東京理科大学准教授・伊藤香織氏の「シビックプライド~私の好きなまちをもっと好きなまちにする~」でした。
伊藤氏は、海外の事例を交えながらまちの在り方と自分との関わりについて話しました。そのコンセプトは「あなた自身があなたのまちなのです」。つまり、まちを自分のものとして捉え直すというある種の当事者意識が必要だと。自分のまちを大事にする。まちを知る、まちを愛する、まちに関与する。そして、まちからも愛される。自分の家にはごみを捨てないが、公共空間には平気でごみを捨てる人がいるが、そういう人には私の場所だけの発想から、みんなの場所でもあるという意識を持ってもらいたいと。
まちづくりの意識に関して参考になる事例もたくさん報告されました。北九州だけではなく、いろいろな地域に共通する考え方です。
このような考え方がすべての地域に定着すると素晴らしいまちづくりができるのは自明の理なのですが、それが難しいのがまちづくりです。この状況を打破するためにも行政は言うにおよばずNPOなどの中間支援機構の活躍も期待されます。
さて、基調講演に続いてさまざまな地域活性化手法を実感する分科会が開催されました。分科会は6つ用意されました。
(1)小倉のまちあるき、(2)若者とまちの関係、(3)衰退する商店街での演劇活動、(4)八幡駅周辺の建築家村野藤吾(佐賀県唐津市出身)の建築物をめぐるまちあるき、(5)戸畑のまちと情報発信の試み、(6)行政による小倉観光の取り組み――です。
私は、第1分科会の小倉のまちあるきに参加しました。NPO法人北九州タウンツーリズムの原点となる活動を体験してみたかったのです。
これは、「都市(まち)の魅力に触れる方法~都市の生活の場を体験する~」というもので、北九州タウンツーリズムが長年培ってきた、まさにまちあるきの真髄を感じることができました。NPOの方々の周到な準備、まち・小倉中心部商店街の方々の心のこもった対応・説明。小倉を外の方に知ってもらいたいという熱意。そんなことなどが実感できるまちあるきツアーでした。
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和歌山大学産学連携・研究支援センター客員教授、観光学部フェロー
西日本工業大学デザイン学部非常勤講師
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