＜消費税駆け込み特需にご用心＞
　特に悲惨を極めたのが、「午前中時間指定の鬼」とされる流通業界向け納品だ。時間指定納品は、今や食品メーカーの配送では５割を占めるといわれ、業界泣かせの「元凶」なのである。そんなわけで年末は、各中間流通デポに午前中納品のトラックが一斉に集中してしまった。そのために、一部の受け入れ側もパンクしてしまった。時間指定どころか、納品待ちで何十時間も待たされたトラックが出た。いったい何が時間指定なのか、と腹が立つ。こんな「物を運びたくても運べない」恐怖・危機って、今年も実は間近に迫っていると言われているのだ。

　そう、皆さんもお察しのとおり、消費税導入目前の３月がそれだ。まさに３月は消費増税目前の駆け込み需要月に当たる。すでに３月の貨物路線はすべて押さえられているとも聞くから、今から各社戦々恐々の「臨戦態勢」を敷いているのである。

　特に３月最終週は、「駆け込み」納品で受注が集中するのではと予測されており、少し前なら、ここで数字をつくってくれる営業が何だかんだいって重宝がられた。しかし、今年の３月に限ると、単純な数字づくりだけでは済みそうもない。流通に乗せられて、月末「駆け込み」に走り回ってしまうおっちょこちょい営業がいれば、エライ事になる。どうやっても商品を運べないという非常事態が起きかねないのだから・・・。

　小生の会社でも、営業筆頭役員から、各営業部門長、支社長に対し、「特に家庭用部隊は物流環境の悪化も踏まえ、３月の仮需対応については適切に対応するように」との指示があったほどだ。実際、こんな「自社の配車状況も気にしながら営業しなさい」なんて話さえ、小生も入社以来、初めて聞いたバイ！

　心配性の小生は一応、いろいろと関係者に事前ヒアリングを試みた。どうやら建設作業員も人手不足が深刻のようで、そっちの業界も「えらいこっちゃ」の状況らしい（？）。トラックの運転手も、建設作業員も、高齢化が深刻らしいのだ。とある運送会社で大型トラックのドライバーを募集したところ、一番若かった年齢が58歳だったなんて、笑うに笑えない話もあるほど深刻らしい。他人の歳をあれこれ言える太郎じゃなかばってん...。

　仮に３月の「仮需の危機」を何とか乗り越えられたとしても、次に控えるのが東京オリンピック特需だ。われら食品業界のトラック運転手は、そっち(ダンプ)へ持って行かれるのではないかという話もある。しかも、運転手には新たな成り手も少ないとか。となると、「高齢化社会？」のドライバーは減るばかり。東日本復興も遅れているし、東京オリンピックは2020年に迫っているのだから、少しゾォ～っとする話だ。

　某食品メーカー部長がポツリとつぶやいた。
　「仮にさぁ、業界が連携して共同配送に取り組んだとしてだよ、流通とも時間指定の解除と同時に、毎日納品を週３日、荷物をまとめての納品に変更できないかって交渉のあげくに成立したとしたらだよ。彼らはね、間違いなく、お前ら配送効率が良くなって運賃削減できたんだから、削減分はこっちによこせって言ってくると思うんだよね。俺はね、そんなもんくれてやってもいいと思ってるんだよね。それでこっちが苦しまなくてすむんだもの」。

　小生はそんな会話をふと思い出しつつ、少し遅めの新年会。都内の某馬料理専門店で「大将！馬のレバ刺しもう一丁お願いね。あっそれと、たてがみもあると～？三岳もおいと～と？じゃあビールの次は三岳のお湯割りね」と。かつて熊本に出張すると、必ず立ち寄っていた馬肉がおいしい焼肉屋を思い出しながら、今宵も「午年だけに馬がおいしい」なーんてオヤジギャグで、居並ぶ部下をドン引きさせる太朗ちゃんでした。

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