西部ガスが27日、北九州市若松区の響灘臨海地区にLNGを用いた大規模な火力発電所を建設するための環境アセスメントを始めると発表したことは、NET-IB上でも既報の通りだ。この響灘沿岸エリアは、実は北九州市が掲げる地域エネルギー政策「響灘地区スマートインダストリ」の構想が掲げられている。響灘地区スマートインダストリとは響灘沿岸地区に火力、洋上風力、メガソーラーなどの発電施設を提案し、エネルギーの地産地消を目指すというもの。市は当初、この構想に企業がついてきてくれるか不安もあったという。
「私たちはエネルギー事業に有望な地として響灘地区を挙げさせていただいきましたが、企業様方にも同様の思いを抱いていただけるかどうか、半信半疑な面もありました。西部ガス様が環境アセスメントを開始してくださるなどの具体的なアクションから、企業様が響灘地区はエネルギー事業に有望な土地であると認識していただけたのではないかと感じることができました。企業様に具体的な動きが見え始めたことでエネルギーの地産地消に向けて全体として弾みがついてくれると思っております」(北九州市環境局環境未来都市推進室)
北九州市にはオリックスによる、同地区でのバイオマス混焼発電施設の整備に関する環境アセスメントも提出されている。同施設は木質バイオマスと石炭から発電を行なうとしており、その出力は約11万kWが想定されている。
なぜ響灘沿岸地区が発電に向くのか。市環境局環境未来都市推進室に質問したところ、ポイントは3つあるとの返答が得られた。
1つ目は港湾施設があるため、燃料が運び込みやすいということ。2つ目は燃料の輸入基地がつくられるということ。3つ目は広い土地があることだという。スマートインダストリはいわば提言のようなもの。企業側がその事業性などを判断するものとしており、今回の2社は、ともにその構想への興味を示したという形だ。この2つの発電所計画だけではなく、スマートインダストリの構想のなかには洋上風力発電やメガソーラー発電なども含まれている。発電所の設置の是非、事業化の是非までは、各企業の判断によるため、今後の続報を待たなければならないが、それでも、北九州市のエネルギー政策への関心の高さ、また、提言する力というのは見習うべきところが多いように感じられる。
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