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ハウステンボス再建(後)~楽しませながらコスト圧縮
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2014年2月 3日 07:00

<コスト圧縮が裏目に出る>
huistenbosch3.jpg 2003年9月には支援企業として野村プリンシパル・ファイナンスが名乗りを上げる。翌年には同社主導でリニューアルオープンを果たし、さまざまなアトラクションを持ち込むも、いずれも起爆剤とはなり得なかった。場内にある施設は次々と閉鎖されていき、イベントもどんどん縮小されていった。コスト圧縮により経営改善することを目指したのであろうが、それが裏目に出た。暗い、人がいない、活気がない施設に客が来ることはなかったのである。赤字を垂れ流し続ける状態に、地元企業を中心とした支援策の検討がなされるようになる。しかし、誰もその要となることを希望せず、宙ぶらりんな状態が続くことになる。
 そして、そのような状態に終止符が打たれたのが2010年。H.I.Sが正式に支援を決定したのである。

<利用者層ごとのアプローチ強化>
 同年4月には100%の減資を行ない、資本を再構成。H.I.S、九州電力、西部ガス、九電工、JR九州、西日本鉄道による再生が図られることとなる。H.I.Sが筆頭株主となって過半の株式を有することとなり、ハウステンボスはH.I.Sの子会社として再々度の船出を始めることとなるのである。社長にはH.I.S会長の澤田秀雄氏が就任した。

 澤田氏が行なったことは、顧客層それぞれに向けたアプローチである。ファミリー向け、カップル向け、大人向けのイベントや設備への投資を行ない、来訪者の増加を狙う。そして、それは必ずしもオランダと関係のあるものとは言えないものであっても、積極的に導入していった。たとえば、人気アニメ「ONE PIECE」とのコラボレーションとして、同アニメで登場する帆船「サウザンドサニー号」を再現するなどして新たな顧客層の取り込みを図ったほか、カップルや大人に向けては場内を明るく美しく魅せるイルミネーションイベント「光の王国」や類を見ない規模の「100万本のバラ祭」などを展開していった。その一方で、コスト圧縮も激しく行ない、ついには黒字化に成功することとなる。

1,000万球を超えるイルミネーションが人気のイベント「光の王国」

 かつてコスト圧縮のために行なったのが施設閉鎖などの「より暗くなる」戦略だったのに対し、澤田氏が主導したのは「より楽しくしながらの削減」だった。投資する部分は投資し、圧縮できる部分は圧縮する。たとえばイルミネーションのLED化や納入業者との折衝など、機能性を維持しながらのコスト削減に取り組んでいったのである。

 日本一、世界一にこだわり、ここでしか体験できないアトラクションへの取り組みも行なっていった。これにより、13年9月期で入場者数は247万人(前年比129.1%増)、売上高は216億円(前年比129.6%増)、営業利益48億円(前年比200%)を達成することとなる。
 新たな視点を入れることで、着実に経営状態を改善していったハウステンボス。そのキーワードは「挑戦」だ。ハウステンボスの挑戦はまだまだ続く。

(つづく)
【柳 茂嘉】

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