福岡市中央区今泉に移転工事を行なっている中央保育園の完成が2カ月ずれ込むことが、明らかとなったが、6月に完成すれば、併設される2つの保育園で定員300人のマンモス保育園となる。保育環境として人数が多すぎることでの弊害も指摘されている。
現在、移転工事が行なわれている地域には、パチンコ店が隣接し、数軒のラブホテルが立ち並ぶ子どもの教育上、好ましいとはいえないエリア。しかも、タクシーやトラックなどの通行量が多いが、拡幅工事も行なえないほど道幅は狭い。移転予定地については、設計を行なった建築事務所からも問題を指摘する声があがっており、保護者が移転用地購入費は、違法な支出だとして購入費約8億9,900万円の返還を求める訴訟を起こしている。
2月3日午前中、移転工事が行なわれている現場を取材したが、現場は、防音シートで覆われ、工事の進行状況を外からうかがい知ることは出来ない。車両通行用の入り口から、時折工事車両と作業員が出入りしているが、工事は、捗っていない様子。
写真のとおり、路上には、むき出しのコンクリート板が置きっぱなしにされたままだった。工事の遅れの背景には、資材の高騰や建設作業員の人手不足があるというが、それは東日本大震災前後からその兆候が出ており、わかっていたことだ。工事の遅れでの追加費用3,600万円は、福岡市が全額負担する。
福岡市は、移転計画地に定員の異なる保育園を併設し、300人を受け入れるとしているが、一部会派の市議からは、「子どもたちにとってどうなのか。保育士の目は、一人一人の子どもに届くのか。厚生労働省に話を聞きましたが、300人受け入れは、問題が多いと指摘しています」と批判の声を聞いた。所管する厚労省も、マンモス保育園の誕生を好ましいと考えていないということだ。
福岡市は「待機児童の解消」と言う大義名分を掲げているが、行政の都合で弄ばれているのは子どもたちと保護者ではないだろうか。
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