中国や韓国では旧正月(春節)を大々的に祝う習慣があり、今年は1月31日が春節の元旦となった。春節の大型休暇には「ちまき」「もち」などを食べながら家族で過ごしたり、旅行に出たりする慣習があるが、「『春晩联会』を見ながら過ごす」というのも中国人にとって欠かせない文化だ。『春晩联会』は日本で言うところの「紅白歌合戦」で中国国営テレビ局・CCTVが春節の「大晦日」に放送している歌謡ショーだ。今年は1月30日夜8時からの生放送、会場でカウントダウンをむかえ、その後も歌や演劇、マジック、コントなどショーが続く。
今年の『春晩联会』も例年同様の盛り上がりを見せた。関係が親密化している台湾人歌手も出演。台湾人歌手は、出演時の字幕スーパーに「中国台湾」と記されている。さらに今年は、韓国人歌手も登場した。中国、台湾、香港、韓国・・・、東アジアの強固なネットワークが歌謡番組を盛り上げているが、そのなかにやはり「日本」の文字はない。
中国大陸では谷村新司さんなどが高い人気で、中国の大型歌謡番組にラインナップされても遜色ない「格」である。以前はEXILEのATSUSHIさんが、北京の大型歌謡番組からのオファーを受け熱唱するなど、日本の歌謡界も実力派が大陸に行く流れもあったが、一昨年の尖閣諸島問題以来、その扉は閉じたまま。ましてや、中国国営放送の番組に「日本人が出演した」となると、政治的な意味まで持ってしまう。「民対民」では交流の動きが出ていても、「国対国」では、まだまだ不透明感がある。
今後、仮に、日本人がこのような「中国国営放送の番組」に出演機会があるとしても、すんなりとはいかないだろう。なんらか「政治的条件」が発生するであろうことは必死。例えば、中国人司会者が日本人ゲストに対して「釣魚島は中国の島ですから」と振っておいて頷かせるとか・・・。こういう「駆け引き」が、中国テレビ番組では他国のゲストが出演する際に行われる。
以前も書いたが、台湾人ゲストが出演する際、字幕に「中国台湾」と付記されたのも一例だ。『台湾は中国の一部』というメッセージを含んでいる。
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