沖縄基地問題を考える学習会「じのーんちゅの憂鬱」が2月1日、福岡市で開かれた。じのーんちゅは、うちなーぐち(沖縄の方言)で、宜野湾市民を指す。普天間基地を抱える宜野湾市出身の天久泰弁護士(福岡県弁護士会所属)が講師を務めた。米軍ヘリが沖縄国際大学に墜落した当時、天久弁護士は司法試験の最終口述試験の勉強のため連日、同大図書館に通っていた。事故当日は、たまたま散髪のために那覇市にいて、事故にあうのをまぬがれた。
天久弁護士は、米軍機の爆音や米兵犯罪と隣り合わせに暮らし、基地をめぐって住民が対立し、沖縄戦の苦難から「平和の島」を願いながら、「基地の島」の現実を変えられない無力感を「憂鬱」と表現。「いつになったらこの憂鬱から逃れられるのか」と問いかけた。
普天間基地上空を飛ぶ米軍ヘリの爆音や、2004年の米軍ヘリ墜落を報じる映像、同基地の閉鎖・撤去を求める普天間基地包囲行動などの動画を上映しながら、普天間基地の危険性を訴えた。米国の基準では、普天間基地は飛行場と認められず、普天間基地は合法性のない基地だと述べた。
天久弁護士は、基地負担を正当化する論理を一つ一つ取り上げて、反論。抑止力論について、「在冲米軍普天間基地は日本防衛の任務を持っていない」と述べ、米軍の世界展開の足がかりに過ぎないと批判。基地依存経済というイメージに対して、「完全失業率は国内ワーストワン、基地雇用の貢献度は認められない。沖縄の経済界は、特色ある自然・文化を生かした観光産業を中心に自立経済を目指そうとしている」と訴えた。沖縄への基地負担を正当化する議論について「すり替えだ」と批判し、「ちゅんかい くるさってー にんだりしが、ちゅんくるちぇー にんだらん」(人からひどい目にあわせられても眠れるが、人をひどい目に合わせたら眠れない)という沖縄の格言を引用しながら、辺野古への移設は危険の付け替えであり、危険の除去ではないと強調した。
「少数者の人権が保障されず、(少数者の)意見が最大限尊重されない社会に未来はない」として、「普天間基地の問題、基地問題は、人権問題、憲法問題、社会問題の縮図。これからの沖縄、普天間をどのような形で、未来の子供たちに残すべきかを一番に考えたい」と呼びかけた。
学習会では、30代の若者2人が平和学習ツアーで沖縄を訪れた報告があり、「あまりの悲劇と不合理さに衝撃を受けた。『沖縄県民に人権はないのか』『軍は国を守るが、住民を守らなかった』という言葉は衝撃でした」、「沖縄の人たちが基地に反対しているのには、『基地があることで戦争に加担し加害者になりたくない』という思いがある。この当たり前の感情に気づきも考えもしなかったことにショックを受け恥ずかしいと思った。気づいたことで、これからも知識を深めていきたい」と語った。
学習会は、中央区九条の会と、憲法を学ぶ若者たちを中心としたサークル「terra café kenpou(テラ・カフェ・憲法)」が主催したもので、約80人が参加した。
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