異例ずくめでスタートした東京都知事選。細川護煕氏による「脱原発」の風が吹くのか、それとも与党独裁の政治状況をそのまま反映し舛添要一氏が逃げ切るのか。予測するのはなかなか難しいが、現場の空気感から結果を想像してみよう。
まず投票率はどうなるか。ちなみに前回は、有権者数1,061万9,652人に対し投票総数は644万7,744票で投票率は62.6%。猪瀬直樹氏に他の候補者がどう立ち向かうかという構図だったため、結果として票が猪瀬氏に集中した。
今回の選挙は、各メディアの予測では投票率は50%台後半になると見られている。前回は衆院選と重なっていたため、その分を差し引いているようだ。すでに与党が200万票を固めているという観測もあるため、残り400万票を各候補者で分け合うかたちだが、投票率が55~58%くらいに収まるなら舛添氏有利に変わりない。逆に60%以上を超えるようなことがあれば、細川氏が巻き返す状況が生まれる可能性もある。
2月1日、細川氏が新宿・渋谷という都心部で街頭演説する一方で、舛添氏は三多摩地域(西多摩、北多摩、南多摩)と呼ばれる都心から離れた地区で遊説していた。
実は東京都の約3分の1の人口が、この三多摩地域にいるとされている。応援演説した三多摩地域の青梅市長・竹内俊夫氏は「過去の都知事選でこれだけこの地域のことを見てくれたのは舛添さんが初めて。何とかして保守の力を結集して彼を当選させたい」と支援を表明。同地域の各市長も応援に駆け付けており、こうした地方にも目を向け支持を訴えるところに与党のしたたかさを感じさせる。
スマートなネット選挙だけでは、こうした層をとりこむのは難しいだろう。今はまだ高齢者の方が投票率は高いからだ。それでは風は吹かない。では、いったい誰が風を吹かせることができるのか。それは20代から40代のこれから国を背負っていく世代だ。
「どうせ投票に行っても行かなくても同じ」――若い世代がこう思っているうちは、古い日本政治は変えられない。その点「こんな老人に頼っていていいのか」というメッセージを発し続けている細川・小泉コンビは潔い。
東京都はさまざまな問題を抱えている。2020年東京オリンピックに備えインフラをどう整備するか、首都直下型地震に防災面でどう準備するか、少子高齢化が進むなかで福祉政策をどうするか。どんな理由で選ばれようとも、今回選出される新知事は多くの課題に直面しなければならない。
そして今回の都知事選は、各候補者にいったい何を問うべきなのか、本当に今の政治が正しいのか。今一度、若い世代の人間が疑問を持って考えていく必要があるだろう。
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