福岡市は、150万人の人口を有し、大阪以西では最大の都市だ。企業や行政機関に加え、大学・専門学校なども多い。若い人が多い活力ある街という印象を持たれている。一方、車で30分も走れば、自然あふれる地域が広がり、退職後は、福岡市に移住したいと考える人も少なくない。しかし、その福岡市の市政はというと、飲酒運転をはじめ市職員の不祥事が絶えず、その根本原因のひとつが、高島宗一郎市長の資質・姿勢にあるという声が高まっている。二元代表である議会はどのように考えているのか。今回は、日本共産党市議団の中山郁美市議に話を聞いた。
<マンモス保育園を適正規模に>
――中央保育園移転は、特定政治家の関与が囁かれており、保護者から訴訟が起こされていますが、どのようにお考えでしょうか。
中山 独自に寄せられた情報もありますが、ハンターさん(福岡市のニュースサイト「HUNTER」)もよくここまで掴まれているなと思います。私たちも議会で折に触れて取り上げていますが、おそらく許しがたい癒着構造があるだろうと思います。はっきりと確証がつかめてはいませんが、市長の関与が疑われる政治疑獄的な要素が強い土地ころがしがあり、利益を上げた不動産会社がその金をどうしたのか。関与した市議にばらまいたのか。それとともに子どもたちの保育にふさわしくない環境で作られようとしている。あれやこれや取り繕って強行している。しかも開園が遅れる。工事をしている隣で、子どもたちの保育を始める。でたらめな話です。風営法では、あとでラブホテルを作れないが、最初からあるものはいいなどと議会でいってのける。誰が見てもおかしい、理屈にならないことをしゃーしゃーという。
100人越えの保育園はただでさえ、大きいのに、300人の保育園など、ありえません。私たちは、毎年、厚生労働省と保育問題で交渉していますが、福岡市のマンモス園の報告をすると、厚生労働省も「300人の保育園があるんですか」と目を丸くしていますよ。中央保育園以外にも実質300人近い園もありますが、市長の姿勢として、60人、70人の適正規模の保育園を、4、5カ所作ることに努力を惜しまないというのが本来あるべき姿ではないですか。民間の西鉄などの参入(福岡市立中央児童会館の建て替え)が優先とばかりの姿勢、これが保護者の目にも異様に映っている。当然のことだろうと思います。そういうなかでリコール運動が準備されており、私たちも動向を見守っています。実際にリコール運動が始まったら福岡市政始まって以来の事態です。
<着々と進む戦争ができる国づくり>
――国政でも地方でも、保守層も巻き込んだ広範な国民運動を展開するというのが、共産党の方針ですよね。
中山 国政においては、原発、TPP、年末の特定秘密保護法、沖縄の基地問題、大きなところでは憲法問題。これは党大会で議論しましたが、今の安倍政権、自民党が進めようとしている政策と国民の思いとが激突しています。そのなかで共産党が支持する候補者、推薦する候補者、そのときどきの地域の状況によって判断しています。
近隣の糸島市長選では、木村公一さんを応援しました。国政も市政も、一点共闘で、大きな戦いにして要求を実際に実現するという幅広い方々と連帯を作るように、力を入れると共に党勢の拡大につとめていきます。2014年、自民党と実力の上でも戦える党になっていこうという思いで取り組みを進めています。
――昨年強行された特定秘密保護法は、究極的には、公安警察のための法律ですね。NSCや改憲など『戦争ができる国づくり』が近づいているような気がします。
中山 まさにそうだと思います。安倍首相の靖国参拝もありましたし、彼の歴史認識に関する行動と発言が国際的な批判を浴び、孤立する状況になっています。そういう歴史観を持った人物が、政権をとり、国会で多数をとり、数を頼んで強行するというやり方は、その先に自民党が掲げる改憲草案があり、国防軍をもつとか、表現の自由などの権利を抑制するものです。戦後築いてきたものが、一気に崩されようとしています。結果的に秘密保護法によって突破口を作られました。しかし、そのままでは通らないと思います。
共産党が廃止法案を今国会に提出しますが、法案成立を強行されて多くの国民は怒っています。秘密保護法も実施させない。そういう展望も開けてくると思います。私たちは、"安倍政権の終わりの始まり"と秘密保護法の強行採決前後に言いました。当面はないと言われますが、国政選挙もいつ行なわれるかわかりません。
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