<ダム所有のうきは市が財源洗い出しで発覚>
福岡県内の2つの水道企業団がうきは市にある合所(ごうしょ)ダムから取水しているが、同市に支払うべき交付金合計8億円を払っていないことが判明した。この2つの企業団は福岡市など6市7町1企業団1事業組合でつくる福岡地区水道企業団と、8市3町1企業団でつくる福岡県南広域水道企業団である。両団体のなかでもとくに水道水の供給の大部分を他地区に頼る福岡都市圏の落ち度は見逃せない。
うきは市にある合所ダムは、もともと九州農政局が農業用水の利用を目的に計画したもの。だが、建設途中で各水道企業団の利用を開始されることが加わり、農業用水だけのダムではなくなった。福岡都市圏は1級河川を持っていなかった。この時期、住宅供給の増加が著しく顕著となった福岡都市圏にとって水源の確保は急務だったと言える。
各水道企業団は建設費の一部負担はしたものの、固定資産にあたる交付金の支払いは行なっていなかった。
事は、昨年夏にダムを保有するうきは市が財源の洗い出しを行ない、問い合わせしたことで発覚した。これにより水道企業団が支払う交付金の総額は8億円に上った。内訳は福岡地区水道企業団が約5億4,500万円、福岡県南広域水道企業団が約2億5,500万円である。地方自治法上の時効は5年。その分の合計約2億1,000万円はうきは市に至急支払う予定としている。だが、取水から25年経過した20年分は時効であり、時効分の合計約5億9,000万円については、うきは市が新年度に新設予定の水源保全事業基金を設け、今後の受け皿とするとしている。
<渇水時の恩義を忘れたのか>
この件に関して福岡地区水道企業団の担当者は「ついうっかりでは済まされないこと」と平謝り。水道企業団の大きな役目は、水道水の安定供給と水道水供給料金の収入確保に心血を注ぐところである。その安定供給元に大きな恩恵を受けながら、固定資産税にあたる交付金を支払っていなかったとは・・。筑後大堰上流の福岡導水を経て供給される水源の規模は大きく、福岡都市圏は約3分の1に相当する水道水を筑後川系から取水しており、大きな恩恵を受けている。とくに過去何度か大渇水を経験した福岡都市圏においては水の有りがたさを知っているはずだ。
福岡市を代表して高島市長がうきは市に対して出向き謝罪すべき事案ではないだろうか。今後、福岡都市圏において大渇水を起こす可能性もあるかもしれない。この筑後川水系からの水の生命線が途切れないように、高島市長はこの事件の重要性を認識すべきだろう。
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