博多港内には穀物を取り扱う企業が多く、一大拠点として名を馳せており、須崎ふ頭も例に漏れない。福岡市が須崎ふ頭に業界最大手の日清製粉グループを誘致し、あまりにも優遇すぎる待遇で市有地を同社に売却したことは記憶に新しい。そして今回、穀物の供給を手がける博多港サイロ(株)の株式、福岡市の第三セクター分の一部を同社に売却するとした。市は地権者に説明を開始したものの、また好優遇だとして、サイロ会社の株保有会社は不満を抱いている。地権者に対する髙島市政の誠意が求められる。
<いまだに不可解な待遇>
日清製粉(東京)が九州地区における工場集約を目的に進出する足掛かりを決めたのは2011年1月末。須崎ふ頭内の民間所有地をゼネコンが購入した数日後に、日清製粉グループ本社名義で取得した。ただ、購入した民有地だけではあまりにも狭い。岸壁にサイロなどが立つ市有地と両土地を分断する道路を加えたことで、理想とする広さの土地を確保できる。このため、市は日清製粉の土地取得の要望をあまりにも安易に提供。議会において採算度外視と言われても、お金がかかった元サイロ工場を解体し更地にした。また、民有地と更地にした市有地の間を通る道路についても、簡単に土地に変更。その下を通っていた下水管などの管路も大きく迂回して埋設したのだ。
この案件は、高島市長が市長選に当選後、最初に手がけた案件だったことと聞かれ、就任間もなく吟味できなかったのだろうとか、ドサクサに紛れて案件を通したとも囁かれたりした。地権者としてはたまらない話だ。日常道路を勝手に封鎖して土地として販売し、管路迂回のため道路をひっくり返す。それも日清製粉という大手製粉企業の誘致のために、地権者無視の態度がなされたわけだ。そのくすぶりも時間の経過とともに鎮静してきた。だが2014年に入り、過去と同じような優遇措置とも取れる案件が持ち上がったのだ。
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