福岡市は、150万人の人口を有し、大阪以西では最大の都市だ。企業や行政機関に加え、大学・専門学校なども多い。若い人が多い活力ある街という印象を持たれている。一方、車で30分も走れば、自然あふれる地域が広がり、退職後は、福岡市に移住したいと考える人も少なくない。しかし、その福岡市の市政はというと、飲酒運転をはじめ市職員の不祥事が絶えず、その根本原因のひとつが、高島宗一郎市長の資質・姿勢にあるという声が高まっている。二元代表である議会はどのように考えているのか。今回は、日本共産党市議団の中山郁美市議に話を聞いた。

＜国民健康保険料を払えない保育士＞
　――安倍政権の進めるアベノミクスの中身を見ると、実態は国土強靭化にみられる土建国家の復活や成長戦略での労働規制緩和など問題が多いですね。

　中山　規制緩和、構造改革の名の下に、弱肉強食の社会にされて、一部の大企業が大もうけする。さらに大企業に減税する。方や、社会保障は削減する。介護保険制度も改悪され、労働者派遣法は抜本的改善をされないまま、安上がりの非正規労働力で大企業が儲かる構造が作られました。それは、公務労働にもおしつけられ、私も以前、福岡市の教職員でしたが、いまや市立高校の教師の３人に１人は非正規です。義務制の小中学校は５人に１人です。行政サイドでも国の方針に従って人減らしを進めてきた。福岡市の職員の数も政令市では最も少ない。さらにこれを削るという。その先鋒をいくのが高島市政だと思います。　

　窓口に生活のことですがっていった市民に対して、適切なアドバイス、親身な声かけができるかというと、生活保護の窓口も任期つき職員が配置され、ケースワーカーも非正規です。公務労働でさえその状況です。保育所は公立も民間も非正規で支えられている。手取りで10万程度はざらで、そのなかから、国民健康保険料を払わないといけない。払えず滞納し、払えない人も多いと切実な声が寄せられています。そういう現場こそ処遇改善をするべきではないでしょうか。議会でも頻繁に取り上げていますが、高島市長はそれには目をそむけ、それどころか、市長は雇用規制緩和の特区申請をしています。福岡市は、自民党がやろうとするものを進めており、限定正社員制度の導入を考えているようです。

＜特定団体への特別扱いはいらない＞
　――話題は変わりますが、中山議員は、議会で同和行政の終結について取り組まれています。福岡市の人権施策については、どのようにお考えでしょうか。

　中山　歴史の進捗のなかで、部落差別・同和問題は、基本的に解消したと私たちは考えています。すでに同対法（同和対策特別措置法）も失効し、国の窓口はありません。しかし、福岡市は「同和」という冠をつけた施策も一部残っていますし、「地域の教育力」などを謳い、一般施策の中に潜り込ませて、特別扱いを続けています。これは一刻も早くやめるべきだと思います。とりわけ部落解放同盟への補助金は、毎年2,400～2,500万円ほど出ています。その９割が団体職員の人件費です。私が市議になったころは、5,000万円出ていました。常勤と非常勤あわせてですが、常勤は年収600万円で公務員並みの待遇。相変わらず行政丸抱えです。解放同盟の会費収入は、約400万円です。自前で集める５倍の額を出している。こんな団体は他にありませんよ。

　そして、学校の同和加配、昔の同和教育推進教員。名称こそ「児童生徒支援加配」と変わっていますが、いまだに同和地区のある学校に配置が集中していて、受け持ちの授業時間数も少なく、地域の部落解放同盟の会合に出ています。これは、福岡市だけではなく、筑後地区や行橋あたりでもあるようです。生徒指導上、大変な学校はあって、一部の生徒が、服装が悪いと追い出される。そして、家などにたむろしていく。生徒指導上、厳しいとなれば、それに特化した先生も必要です。だから、学校からも保護者からも、先生の加配を望む声が聞かれます。しかし、従来の学校優先は改められない。行革の流れと、特定団体との癒着の構造的問題があり、教育委員会だけが悪いのではありませんが、こうした歪みは早く正すべきと思います。

　――今後も、市長選を視野に入れて中央保育園問題をはじめ福岡市の歪みを取り上げてまいりたいと思います。本日は有難うございました。

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