福岡市は、150万人の人口を有し、大阪以西では最大の都市だ。企業や行政機関に加え、大学・専門学校なども多い。若い人が多い活力ある街という印象を持たれている。一方、車で30分も走れば、自然あふれる地域が広がり、退職後は、福岡市に移住したいと考える人も少なくない。しかし、その福岡市の市政はというと、飲酒運転をはじめ市職員の不祥事が絶えず、その根本原因のひとつが、高島宗一郎市長の資質・姿勢にあるという声が高まっている。二元代表である議会はどのように考えているのか。今回は、社民・市政クラブの高田保男市議に話を聞いた。

＜少数会派を尊重しない高島市長＞
　――高島市長の手法に批判の声も出ていますが、社民・市政クラブとしてどのようにお考えでしょうか。

　高田保男市議（以下、高田）　従来から少数会派ということで、市政に対しては是々非々の立場で、市民が納得のできないものについては、議会でも発言しています。是々非々とは、高島市長に対してではなく、市政に対し、その政策ごとに対するものです。私たちの立場としては、市長を支援するということではありません。今の高島市長は、議会軽視が目立ちます。もう少し少数会派の意見に対しても、丁寧な対応をしていただきたいですね。議会の少数意見も聴いていかなければならないはずです。

　――市長は観光に力を入れるといいますが、いかがでしょうか。

　高田　失礼ですが、はっきり申し上げてパフォーマンスだと思います。福岡市の財政問題が厳しいなかで、行財政改革が行なわれ、職員の削減や福祉・教育予算の削減が行なわれています。もっと市民に目を向けていただきたいと思います。もちろん、福祉ばかりではいけませんが、両立してやっていく必要があるのではないでしょうか。予算削減ばかりでは、市民の不平不満が高まると思います。

＜増加するヘイトスピーチ＞
　――小泉政権以来、持てるものと持たざるものの格差が広がりました。「平和・人権・環境」を重視してきた社民党の立場としてのお考えは。

　高田　これまで一貫して平和・人権を守る取り組みをしてきましたが、自民党が進める憲法改正の動きに戦前回帰の危惧を感じています。人権無視につながりかねない憲法改正には絶対反対です。私たちの考える人権とは、人に優しいことが基本です。高齢者や被差別部落、女性、在日外国人含めて大きな人権問題としてとらえています。最近は、不況のなかで、インターネット上の差別書き込みが福岡市でもありました。同和地区を中傷する落書きが横行しているんです。また、在特会（在日特権を許さない市民の会）による在日朝鮮・韓国人などを誹謗するヘイトスピーチ（人種憎悪を扇動する差別言動）が、まかりとおっています。
　そういった差別発言の背景には、雇用の問題があります。不安定な非正規雇用やニート（無業者）が増えており、マイノリティが、その不満のはけ口にされてしまっています。そこに、中国や韓国との外交関係の悪化が、拍車をかけています。福岡市においては、公共施設への差別落書き事件がありました。早良区の公園のトイレに始まり、在日や同和地区を誹謗する書き込みが、市役所前のトイレでも見つかったのです。"赤信号、みんなで渡れば怖くない"という感じで、人権が無視され、平和が脅かされることにもつながっていると思います。

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