<1社のためになぜ?髙島市政へ不信感募る>
日清製粉への博多港サイロの株売却は、地権者にとって面白くない話だろう。不信感が増す市との連携で、ますます同社の発言権が大きくなりそうな感じがするとの危機感を持っているのだ。
では、今回の件での問題を定義すると"市ではよく議論したのだろうかという疑問"がある。この博多港サイロの株式売買の話が耳に入ったのは、今年の1月半ば。そして、博多港サイロの特別株主総会のなかの譲渡承認決議が2月半ばとなると、非常にタイトな時間設定となる。市や博多港開発が、この案件についてよく議論したとは到底思えない。
日清製粉の須崎ふ頭新工場が2月に完成と聞かれており、それに合わせた博多港サイロの株取得が日清製粉の事情ありきで、市も時間をかけずに対応を行なったのではないか。周囲ではまたもや「なしくずし」というだろう。当の博多港サイロの担当者は「株主たちが決定することであって、私たちは何も言うことがない。やることは、いかに安定して穀類を受け取り供給するかだ」と、今回の件があっても業務に支障なく遂行することが優先としている。
ただ、疑惑の根底にあるのは"市は密約を持ったのではないか"という疑念。あまりにもタイミングが良く、まあわかりやすいと言えばわかりやすい。こうなると地権者の怒りの矛先は、1社のために動く市とその首長の髙島宗一郎市長に向けられる。たしかに日清製粉の穀物取扱量は、同じ須崎ふ頭の企業と比較しても大きい。しかし、業容の大きさに関係なく、平等に対応するのが行政だろう。
今回の件も、市に対して大きな不信感は否めない。過去、ふ頭再開発という希望に踊らされたときもあったが、その後、具体的な話は聞かれなくなった。それから現在、須崎ふ頭の老朽化も目立つようになってきた。果たして再開発は叶うのか。市がゴリ押ししない納得できる企業誘致が可能となるのか。須崎ふ頭における髙島市政への不信感は、広がりつつあると見る。
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