福岡市は、150万人の人口を有し、大阪以西では最大の都市だ。企業や行政機関に加え、大学・専門学校なども多い。若い人が多い活力ある街という印象を持たれている。一方、車で30分も走れば、自然あふれる地域が広がり、退職後は、福岡市に移住したいと考える人も少なくない。しかし、その福岡市の市政はというと、飲酒運転をはじめ市職員の不祥事が絶えず、その根本原因のひとつが、高島宗一郎市長の資質・姿勢にあるという声が高まっている。二元代表である議会はどのように考えているのか。今回は、社民・市政クラブの高田保男市議に話を聞いた。
<安易に離職する若い世代の増加>
――ハローワークに行くと、朝から盛況です。検索してみると、求人自体はあるのですが、なぜ仕事にあぶれるのでしょう。
高田保男市議(以下、高田) 政治も悪いのでしょうが、今は定年までひとつの雇用に落ち着くと言う感じではありません。終身雇用ではなくなり、仕事に対する諦めもあるのでしょうけど、安易に離職をする若い人が増えています。それでフリーターを続ける人も多い。低賃金では、生活は不安定で、結婚はまずできません。自分が暮らすのがやっとで、家族を養ってはいけません。だから、福岡市も、対外的には、福岡市は住みやすいといわれているようですが、そこに住んでいる市民にとってどう感じているかが重要だと思います。
<子どもを地域の大人が叱れなくなった>
――福岡市は地域のつながりが都会ということもあり、弱いように思います。私は地方出身なので、隣の人がどういう人かわからない生活に、いまだにとまどいます。
高田 高齢者の見回りについても議会で質問しましたが、民生委員さんも含め努力されています。しかし、なかなか目が届きにくい現実があります。核家族化も進んでいて、家族がバラバラになり、つながりが薄れました。私自身も、市営住宅に住んでいますが、鍵一つで隣に誰が住んでいるかもわかりません。昔は、家の勝手口から、自由に出入りできて「どげんしようるな」と声がけをして、近所から味噌や醤油を借りるとか、そういう関係がありました。今は人間関係が希薄化してしまい、気配り、心配りがなくなってしまいました。プライバシー意識も強まり、人との関わりを避ける傾向もあります。心配してよかれと思ったことでも「せからしか!」と反発されるトラブルもあります。"向こう三件両隣"という言葉が死後になっていますね。
子どもの教育でも、学校では先生が叱られたら、昔は親からも「お前が悪い」とまた家でも叩かれたりしましたが、それが当たり前でした。いまは、若い親御さんは、子どもの叱り方がわからない人たちも増えています。
福岡市が大都市になることはよいことですが、住民のコミュニティが希薄なのはさびしい気がします。私は、博多駅の近くに住んでいますが、博多シティには2回しか行ったことがありません。よそから来た人は、興味があるのでしょうけど、それより、歩道など住民が使いやすいように整備して欲しいと思います。都会になるにつれて住民が住みにくくなっています。若い人にとっては、魅力ある街かもしれませんが、高齢者や障害者にとっては住みにくいように思います。やはり、単身者ではなく、家族がいると、おじいちゃん、おばあちゃんのことも考えることができます。自分のことだけではなく、幅広い視野でみることができます。
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