西日本一の歓楽街と言われる中洲で営業する1,900軒のうち、1,300軒は接客サービスが主体の飲み屋である。今、高度経済成長期にオープンした歴史ある店が、経営者や常連客の高齢化にともない、次々と閉店している。その一方、中洲に夢を抱き、新たに店を開く若い経営者も現れている。
<中洲っ子が楽しく飲める場所を守りたい>
「14年前、中洲に来たときは本当に右も左もわかりませんでした」というスナック「サカ爺の婆」の坂地拓生店長は36歳。ボーイから始まった中洲人生。下積みを経て、店を任せられるようになったのは数年前のこと。前に勤めていた店が閉店した時、たくさんの常連客から「もう、お前の店を持て!俺らはお前と飲みに来よるっちゃけん」と背中を押された。
開業自体は、物件を紹介したライン不動産の手厚いサポートもあって無事に行なえたものの、水商売は人が商品。経営者として今まで以上にお客の多種多様なニーズへの責任が重くなる。「常にアンテナを張って、ネットワークを広げていく努力をしています」と、自分の店のことだけではなく、中洲の他業種の案内はもちろんのこと、不動産の紹介や自動車事故の処理といった頼まれごとにもできる限り対応する。「頼めば何でもしてくれる店長がいるお店にしたい」と笑顔で話す。
さすがにオープン1年目では、苦しい日々も少なくはなかった。熱心なファンと信頼のおける女性スタッフの支えもあり、なんとか2年目を迎える。「最初は上司の方に連れられて、次から1人で飲みに来るようになった若いお客さんも増えています。私もまだまだこれから。そういった若い世代も大切にしていきたいですね。目標はこの店をずっと続けることです」と、坂地店長は抱負を語る。
| (後) ≫
<SHOP INFORMATION>
サカ爺の婆
所在地:福岡市博多区中洲2-5-18 第20ラインビル7F
TEL:092-282-8677
営 業:午後8時~午前1時
料 金:6,000円~
URL:https://www.facebook.com/sakageenobar
<プロフィール>
長丘 萬月 (ながおか まんげつ)
福岡県生まれ。海上自衛隊、雑誌編集業を経て2009年フリーに転身。危険をいとわず、体を張った取材で蓄積したデータをもとに、働くお父さんたちの「歓楽街の安全・安心な歩き方」をサポート。これまで国内・海外問わず、年間400人以上、10年間で4,000人の風俗関係者を『取材』。現在は、ホーム・タウンである中洲に"ほぼ毎日"出没している。
※記事へのご意見はこちら