ケンコーコム(株)(東京オフィス:港区、後藤玄利社長)は12日、新たに開始した処方箋薬サービス「ヨヤクスリ」に関する記者会見を都内で開催した。同サービスは診察後にインターネットやスマホを用いて処方箋を撮影、希望の薬局にファクシミリで画像を送信すれば好きな時間に希望の薬局で薬を受け取ることができるという仕組み。窓口での待ち時間も短縮できる。1回送信するごとにポイント10点が付与され、ケンコーコムの通販サイトで買い物もできる。
会見場では、スタッフによる実演を交えながらサービスの利用法も説明した。実演では、診察を受けて昼休みの終了間際に処方箋を受け取った会社員が、帰宅時間に薬を受け取るために処方箋を携帯端末で撮影して希望の調剤薬局にファックスするという設定。薬局側では、ファックスを受け取りあらかじめ電話で受け取り時間を確認したものの、求められた薬の一部に欠品があった。しかし受け取り時間の夕方までには準備する時間的な余裕があった。勤務を終えた会社員は処方箋の原本を薬局に持参し、無事に薬を受け取ることができた。
ケンコーコムの発表によれば、2月5日にスタートして1週間を経過した「ヨヤクスリ」へのアクセスは7,000人・6万8,000ページビューで、実際にFAXを薬局に送信した人は100人に上ったという。今のところ約1万件の薬局にFAX送信が可能で、5月までに対象薬局を5万件まで広げる予定。
利用者からは「これまで知らなかった薬局の存在を知ることができた」、「時間がないときに事前に薬を用意してもらえたのでよかった」などの声が寄せられているとし、薬局からも「薬局の特徴やサービスをPRできるのはよい」との肯定的な意見があるという。一方、「事前に薬が用意できずに来局されたときのトラブルが心配」、「処方箋の画像が鮮明でない」などの声もあるとし、ケンコーコム側では順次改善していく予定のようだ。
今後のビジネスプランとして同社は、(1)薬局の特徴などをPRできる有料広告掲載枠などの新コンテンツの設置、(2)送信した処方箋をデータ化して「お薬手帳」として記録し、時間別での服用アラート・チェック機能の提供――などを予定している。(1)については間もなく実施、(2)も数ヵ月先の開始を予定している。将来的に口コミレビュー機能も充実させ、かかりつけ薬局マッピングなどの新機能も付加し「医療の見える化」を目指すという。また、5日に厚労省から出された通知(薬食総発0205第1号)によって電子メールによる処方箋の送信も可能となった。ケンコーコムではメールによる処方箋の送信にも対応準備を進めている。
後藤玄利社長は、「リリースしてから1週間でこれだけの利用者がいるというのは潜在的なニーズの大きさを示している」とし、「弊社ではインターネットやIT技術を健康・医療にどのように活用したらいいかを常に考えており、その一環としてできたサービス。IT技術を活用しながら処方箋薬を出している薬局に便利なサービスだと信じている。小さな革新ということで、調剤の現場や患者のあり方を大きく変えていくのではないか」と新ビジネスに期待を込めた。
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