福岡市は、150万人の人口を有し、大阪以西では最大の都市だ。企業や行政機関に加え、大学・専門学校なども多い。若い人が多い活力ある街という印象を持たれている。一方、車で30分も走れば、自然あふれる地域が広がり、退職後は、福岡市に移住したいと考える人も少なくない。しかし、その福岡市の市政はというと、飲酒運転をはじめ市職員の不祥事が絶えず、その根本原因のひとつが、高島宗一郎市長の資質・姿勢にあるという声が高まっている。二元代表である議会はどのように考えているのか。今回は、社民・市政クラブの高田保男市議に話を聞いた。
<空港周辺の不便な交通>
――先日、天神を歩いていたら、点字ブロックのついたマンホールが、ずれたままにされていました。視覚障害者の立場が無視されているように思います。
高田保男市議(以下、高田) たしかに、障害者の立場はあまり考えられていませんね。以前、市営住宅に住まれている高齢者の方から、エレベータの中に手すりを設置して欲しいという要望がありました。地震がおきてぐらっとしたときに、エレベータが停電でとまれば真っ暗になります。そのときに、しゃがみこむ状態になった時に、手すりがあると、それに頼れる安心感がある。都市化してもそういう課題はあります。
空港付近の交通も不便です。空港周辺に住む人は、一度博多駅まで出ないといけない。東平尾の運動公園は、車がないと行きにくいです。市に対しても交通改善の要望をしています。車のない人はタクシーで行くことになりますが、ワンメーターで、運転手に喜ばれません。いやな顔をされることがしばしばです。近隣自治体のように、地域コミュニティバスの運行などを考えていただきたいですね。行政は、地域住民の犠牲の下にあることをよく考えていただきたいです。
<まだ部落差別は解消されていない>
――高田議員は、部落解放同盟福岡市協議会の委員長をおつとめですが、解放運動に取り組まれた経験から、教育問題などをどう受け止められていますか。
高田 長年、解放運動に取り組むなかで、「差別解消は学力保障にある」という考えから、子どもの学力をいかにつけるかを重点的に取り組んでまいりました。特措法(同和対策特別措置法)のなかで、住宅改善などは、ある程度改善が進みました。ただ、学力補充の促進学級が行なわれていましたが、特措法が失効して学校教育のなかでとなり、2002年3月末の特措法の終了と共に、差別はなくなったという雰囲気が広がっています。個人情報保護の関係から、同和地区の子どもたちの学力実態調査などが行なえなくなり、把握が難しくなりました。学力保障をしないことで、新たな差別を生むのです。福岡市においては、同推協(福岡市企業同和問題推進協議会)があり、企業のなかで、同和問題を考える活動が行なわれています。これは、部落地名総鑑を購入した企業がその反省から、発足させ、東京や大阪などでも取り組まれています。また、地域には小学校区ごとに、人尊協(人権尊重推進協議会)がありますが、その啓発内容を見ると、いつのまにか同和問題がおきざりにされ、男女共同参画など一般の人権問題にすりかえられている実態がみうけられます。
昨年実施された福岡市の意識調査を見ても、差別はいけないという認識は共有されても、結婚問題や就職問題は解消されていません。福岡市議会で、人権侵害救済法の意見書提案を行ない「すべての人権にかかわる関係法等の早期制定を求める意見書」を採択しました。
立花町(現、八女市)差別はがき自作自演事件は、雇用問題が背景にありましたが、その行為ひとつで、差別を助長してしまいます。だから組織として糾弾に取り組みましたが、行政などにも真相究明のため参加していただいて、協議の場として行なっています。
――福岡市は、多様な市民の形態を踏まえて、地域の顔の見える「まちづくり」に取り組んでいただきたいですね。本日は、ありがとうございました。
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