北九州市は、「港湾整備特別会計」の一部である「埋め立て事業」について、清算に向けて準備を進めていることがわかった。当該事業を継続しても、その部分の負債約530億円の償還が見通せないためで、同市港湾航空局は、「清算に向けて検討を始めたばかり。『三セク債(第三セクター等改革推進債)』の活用も視野に入れている」とコメントする。
北九州市の「港湾整備特別会計」は、「埋立事業」と「機能施設事業」とから成り立つ特別会計。このうち「埋立事業」は、起債により調達した資金などを活用し、港湾施設と一体となった工業用地や流通業務用地を埋立造成するもの。市債の償還は、土地の売却などを通じて回収した資金で賄う仕組みがとられている。
しかし、分譲地の売却不振と地価の下落が長らく続き、収入減と起債利息の増加が会計の収支を圧迫。経営健全化の必要性が叫ばれるなか、北九州市も2011年度からの5カ年計画による約110億円の経営改善化策(黒字化策)を打ち出していた。(リンク参照)
今回の清算に向けた動きは、10年度に出した改善化策のとん挫を意味する。また、利用を検討している三セク債は、13年度までの時限措置であるため、期限まで1カ月余りしかない。この短期間で総務省との協議や議会対策を経て、数百億円に上る市民負担への理解を求めるとなると、越えねばならぬハードルは相当に高い。
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