中国と台湾、それぞれ中台政策を主管する官庁トップの会談が11日、中国・南京で開かれた。中台の「主管官庁トップの公式会談」は1949年の分断後、初。この会談は、「東アジアに於ける新たな歴史の幕開け」の第一歩のように見えるが、その一方で、中国と台湾が会談で話している内容には、日本では報じられていない点もあり(日本のマスコミが意図的に報じていない可能性もある)、看過できない部分も少なくない。
中国中央電視台のニュースチャンネルで報じられた「中台会談」の内容を見ると、日本人なら驚くだろう。中国首脳と台湾首脳が会談したのは「南京」。中台両陣営は一緒に「南京大虐殺」の写真などが保管・公開されている資料館を見学。さらに、中国側首脳はインタビューで「日本が過去に行なった攻撃によって、我々『民族』は打撃を受けた。今後は協力して日本に立ち向かうべきだ」といったコメントをしている。
別に「共通の敵」を想定して連携を図ることや団体を取りまとめるという手法はこれまで歴史的にも行なわれることだが、今回の中台会談において、中国と台湾が「歩み寄り」を図ろうという材料の一つに「日本」、とりわけ「南京大虐殺」があがっているのだ。中台公式会談をアジアワイドでは「歓迎すべき」と捉えることができるが、一方、中台が緊密化すればするほど、「日本の立場」も危うくなる可能性があることを忘れてはならないだろう。
さらに、中国中央電視台のニュースチャンネルでは、中台会談の話題が取り上げられたあと、日本の「尖閣諸島侵犯」について、さらに報道が続いた。尖閣諸島問題の後、ここ数カ月は、日本に対するバッシング報道も沈静化しつつあったが、安部首相の靖国神社訪問を機に「寝た子を起こした」状態になっている。
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