共産党に敗れ台湾に渡ってきた国民党が台湾に持ち込んだのは、中国式政治だけではなく、中国大陸の「食」もある。大陸全土から優秀なシェフを台湾に連れてきたため、台湾は国土は小さいにも関わらず、「中国大陸全土の料理が食べられる」ことでも知られている。実際、台湾には「四川料理」「雲南料理」など中国大陸式の様々な店の看板が立ち並んでいる。しかし、台湾をさらに歩くと、食は「中国サイズ」ではなく、「世界サイズ」であることに気づく。台湾では「世界の優れた食」を堪能できる。
観光で台湾を訪れる日本人の数は年々増えている。「台湾の魅力は観光よりも生活感の延長にある」とも言われる。ショートステイの観光客ならば「台湾に来たら台湾料理」だろうが、ミドルステイ以上なら「いつも行きたくなる店」を探す。そのなかで、台湾在住者に「いつも立ち寄りたくなるフランス料理店」として名高いのが「HOWINE&CAFÉ」だ。
店内にはワインが並び、専用の冷蔵施設まである。カードを挿入することでグラスにワインが注がれるワイン注入機も完備。飲みたい時に注げば、ベストな状態でワインを味わえる。1階には開放感のあるカウンター、2階にはプライベートで利用したいテーブル席も用意されている。
同店で人気のビーフシチューは、口のなかに入れると「とろける食感」、「上品な味わい」でワインも進む。サーモントースト(煙燻鮭魚吐司女士與沙拉)は、フランスから取り寄せたチーズとスモークサーモンが惜しむことなく盛り込まれ、ナイフでカットすれば香ばしさが嗅覚を刺激する。
マネージャーの何健民さんは物静かな情熱家だ。「こだわりの食材やインテリアはフランスで見つけてきた」という熱の入れよう。客が雰囲気に浸れるのも情熱とこだわりが産んだ空間だからだ。ちなみに、朝と昼はカフェとしても利用できる。
コーヒーに合わせるスイーツの代表格はイチゴアイスクリームワッフル(豪華焦糖草苺冰淇淋鬆餅)だ。どこから食べてよいのか分からないくらいボリューム感がある。外側はサクサクで、シロップとアイスクリームが絡むとしっとりとしていく。食感のハーモニーに加え、イチゴのみずみずしさを楽しめる一品だ。「本当に美味しい店は教えたくない」という言葉をあるグルメレポーターは言うが、本当に美味しい店はレポーターが教えなくとも客が集まる。台湾を訪れる日本人は観光目当てばかりではない。日常を逃れて台湾に深呼吸をしにくる日本人もいる。「2階はプライバシーも守れる空間になっている。雰囲気も楽しんで欲しい」と話す何さん。
中華料理だけではない台湾で、本格フランス料理を味わいたい人にお薦めの1店だ。
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