2014年の韓国は、1945年の「光復」（日本統治から解放）以来、初めての女性大統領（パク・クネ氏）のもとで元旦を迎えた。しかし、韓国には「内憂外患」の色が濃い。38度線の北部（北朝鮮）では、金正恩第一書記の独裁体制が、チャン・ソンテク氏処刑に見られるように、危険水位に達してきた。中国からは突然の「防空識別圏」という衝撃を受け、隣国・日本とは日韓首脳会談が２年近くも途絶するなど、最悪の状態にある。好調を伝えられてきた韓国経済も、アベノミクスの余波を受けて輸出不振に陥り、政治的には野党からの政治攻勢も強まってきた。パク大統領は、この難局をどう乗り越えられるのか。大統領の手腕には内外から疑問符がつけられており、早くも正念場の「政権２年目」に直面している。

＜内憂外患の韓国＞
　「金正恩の権力強化のため大々的に粛清を行ない、恐怖政治を進めている」。2013年11月10日、パク大統領の異例の談話が注目された。北朝鮮チャン・ソンテク前国防委員会副委員長の粛清について、大統領が「今後、南北関係がより不安定になる可能性もある」と言及した際、同委員長を呼び捨てにしたからだ。20世紀頃の韓国とは違い、最近の韓国大統領が北朝鮮の国家元首を呼び捨てにするのは極めて異例である。「パク・クネとその一味」といった表現で、北朝鮮側が韓国側を挑発してきたのは笑止千万としても、その逆のケースはいかがなものか。38度線を挟んで対峙する韓国の元首としては、「大人の対応」とは言い難い。

　パク大統領の外交的発言は、いささか慎重さを欠くところがある。いや、「外交音痴」と言った方が的確かもしれない。その端的な例が、13年10月30日にソウルで行なわれたヘーゲル米国防長官との会談である。
　「歴史問題と領土問題について、たびたび時代・歴史退行的な発言をする日本指導部のために、信頼が形成されずにいる」「傷を受けた国民がいるため、国民とともに解決する問題であって、首脳２人が座って解決できない状況だ」。いわゆる「告げ口外交」として揶揄された発言だ。パク大統領は慰安婦の問題も取り上げた。「慰安婦女性の問題は今も続いている歴史だ。その方たちは花のように美しい青春をすべて失い、今までずっと深い傷を抱えて生きてきたのに、日本は謝罪どころか侮辱し続けている。その女性だけでなく国民もともに怒っており、これではいけないという状況だ」と話した。
　いずれも女性らしい（？）感覚的な表現に満ちている。東アジアの複雑な情勢を乗り切るべき韓国大統領として、戦略的な思考は皆無である。ヘーゲル長官が呆れてしまうのも無理はない。

　実は、このような大統領発言が公表されたのも、米国側との事前調整はまったく行なわれていない。これも米側の不興を買った。京郷新聞の報道によると、韓国大統領府の関係者は、米側との事前協議があったのかという質問に、「そんなことはない。（内容が）とても良いと思って公開した」と話しており、大統領だけでなく大統領側近たちの能力にも疑問符がつかざるを得ない。
　ちなみに、米国防総省のプレスリリースには「ヘーゲル長官が北朝鮮の脅威に対応するための韓・米・日の協力を提案し、このような協力の重要性を強調した」と簡単に表記されているだけだ。パク大統領は、初の外遊先だった米国議会での演説でも「日韓の経済的な結びつきはますます拡大しているのに、（日本が）正しい歴史認識を持たなければ、明日はない」と演説した。

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