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福岡市政を破壊する高島シリーズ

子どもより車? 保育園安全対策にウソ
福岡市政を破壊する高島シリーズ
2014年2月24日 15:57

 ①通園時の安全確保については、前面道路を全面的に改修することで、車優先の道路から子どもの安全優先の道にします。(中略)協議、検討を進めた結果、車道を狭くして、歩道を拡幅することにしました。これによって車はスピードを出しにくくなり、歩行者は安心して通行できます。また通行の障害になっている電柱を移設し、さらに車道と歩道の間に金属ポールを立てることにより、ベビーカーを押しながら、園まで安全に通園できる歩行空間を確保することにしました。(高島宗一郎氏のブログより引用)

<車の安全を優先するポールが大破>
 現場を預かる保育士の声を受け、保護者が中心となって反対を訴えている中央保育園の現・移転予定地。最も懸念されていたのが、新保育園の前面道路の危険性であるが、高島宗一郎福岡市長が胸を張った安全対策に"恐るべきウソ"が発覚した。子どもの生命よりも、通行する車を優先するかのごとき内容に、保護者は戦慄し、怒りの声をあげている。

 次代を担う「国の宝」である大切な子どもを預かる場所として、安全性は最低限考慮されるべきである。本稿冒頭に引用した高島氏のブログ記事の表題は新・中央保育園~子どもたちの安全のために~。一見、市民の訴えを聞き、神妙に考えを正したかのように思えたが、その実、高島氏は心のなかで舌を出してせせら笑っていたようだ。高島氏がいう「安全対策」に則り、福岡市は新保育園の前面道路の路側帯にポールを設置したが、そのポールが設置から間もなく何らかの理由で大破。調べてみると、車止めを目的に使用される、決して"歩行者の安全に配慮した代物ではない"ことがわかった。

 NET-IBでも、再三にわたり、新保育園の前面道路の危険性について警鐘を鳴らしてきた。その前面道路は、幅5.5mの片側1車線で歩道がなく、"渋滞の名所"として地元住民に知らない者がいないという道である。そこへ高島氏は、定員300名のマンモス保育園を建設する。もはや「狂気」という言葉が似つかわしい。

 問題のポールは、2月に入り、保護者と園児の登園ルート上に数本設置された。福岡市と施工を行なった福岡市南区の西田建設(株)に確認したところ、2月9日の夜間工事で立てられたという。そのわずか10日後の19日、そのうちの1つ、コンビニ前に設置されたポールが折れていることが発見された。

ポール破損箇所。右が中央保育園保護者の会撮影

 写真では、メタリック塗装がされており、一見すると金属性の頑丈なものに見えるが、ポール自体は金属製ではない。ゴム樹脂製の簡素な素材、衝撃に弱いことは想像に難くない。当該箇所のポールは、福岡県大野城市にある交通安全施設業者・太陽企画販売が販売している製品であった。同社のカタログによると、夜間になると緑色に光るLED式のタイプで、同社営業担当者は、「最近の車止めやポールは、車が傷つかないように柔らかいゴム樹脂のポールが主流」という。

<市職員「右折する車への注意喚起」>
 新保育園の前面道路に設置されたポールは、「車止めが主」で「歩車分離標としても使用可能」だが、あくまでも用途は、歩行者の安全に配慮するものではない。施工した西田建設(株)はNET-IBの取材に対し、「指名競争入札で、弊社が落札しました。あくまで市の設計書どおりに行なわれており、勝手な判断は一切していません。詳しい話は市に訊いて下さい」と答えている。 ところが、この工事を発注した中央区の担当者に取材したが、今のところ要領を得ない説明ばかり。さらに21日午後、中央区役所を取材で訪れると、担当課長、係長どちらも休みという。

hoikuen-p.jpg 代わって、工事発注の担当者と上司に当たる地域整備部長の小野田勝則氏が応対した。小野田整備部長は、記者の「本庁の指示で行なわれたのか」との問いに対して「区の判断であり、本庁の指示は仰いでいない」と説明。別の職員は、「当該箇所に設置されたポールは、車両へ右折の際の注意喚起を行なうもの」と説明している。注意喚起だけで、高島氏のいう安全確保が担保されるのだろうか。23日、JR名古屋駅近くの交差点で車の暴走事件が発生した。車が歩道上の通行人を次々とはね、13人がケガを負ったと報じられている。新保育園の前面道路は、車が少しよれただけでも惨事が起こりうる場所だ。

 さらに、問題のポールには、白線上に設置できず、路側帯内に入り込む形で立てられているものもある。ただでさえ狭い、歩行者の通路がさらに狭くなる。ベビーカーを押して歩く場合など、ポールの外側を迂回しなければならない。事故発生の可能性を一段と高めることになる。

 「子どもたちの安全のために」と本気で思っているのならば、簡単に車との接触でへし折れるゴム製のポールを設置したりはしないはずだ。問題の責任は、施工業者ではなく発注者である福岡市、新保育園の移転計画を強行した高島氏の責任であることは言うまでもなく、新保育園における、幼い子どもたちの安全確保が真剣に考慮されていないことが明白だ。発覚したのが開園前ということを考えると、「啓示」のような気がしてならない。
 福岡市は、ゴム樹脂製のポールの弱点を百も承知で、業者に発注し、新保育園の安全性に問題があるとの批判をかわそうと取り繕っていた。そもそも、まともな安全ポールも立てられず、拡幅工事も行なえないような場所に『マンモス保育園』を建設するほうがどうかしているのである。保育士、保護者らが涙ながらに求めた新保育園の安全性であったが、高島氏の打ち出した安全対策は、設置されたポールのように、"脆く中身が空っぽ"なものであった。

【八女 瞳】


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