日本と台湾の関係は依然として良好だが、国家間の良好な関係は「ビジネス」にも大きな契機を与えている。日本の飲食店業界の台湾進出、台湾人観光客の来日など、各業界は潤いを見せている。そうしたなか、とりあえず「ブームに乗っとけ」という程度の仕掛けも出てきた。
「日台友好」Tシャツがその先鋒だ。無地のTシャツに「日台友好」という文字が書かれただけの簡素さ。日本のデザイン会社が仕掛けた展開だが、創造性があるわけでもなく、「誰でもやればできそう」レベルのものだ。それでも、日台交流イベントなどでの需要があるという。なんでも「作ったもの勝ち」だ。
「くまモン」をはじめとした日本のゆるキャラブームに明らかに乗ったであろう、あるキャラクターも例に挙げられる。日本でつくられた台湾関連の会が制作したもので、「ネーミング」も台湾の地形をそのまま形取った「デザイン」も、「?」という程度。とはいえ「行政主導の公式イベント」にキャラクターが登場したりしている点からすれば、仕掛けは「成功」とも言える。
台湾を中心に活動するあるジャーナリストは「台湾には多くの日本人や日本企業が進出しており、人事交流も盛んだ。特にデザインや飲食部門では『日本ではぜったい無理なレベルだけど、台湾でやってみたらなんとなくうまくいった』というケースも少なくない。先行投資を少なく抑えれば失敗した時のリスクも減らせるので『まず行動』に出る日本グループもあります」と指摘する。
「質」よりも「仕掛け」・・・。前述したTシャツとキャラクターは、それぞれ1個ずつ作ってしまえば、あとは「反応」を見て進めることができるという「リスク回避」が可能。「ただなんとなくブームに乗った」程度のものでもやってみる価値はありそうだ。日中、日韓の関係は良くなく、その分「日台友好」の流れには潮が引く兆候がない。ビジネス各分野において、国際化を図るために、とりあえず「台湾」をテーマに「便乗」プロジェクトを仕掛けてみるのも手なのかもしれない。
※記事へのご意見はこちら