<日韓首脳会談の早期開催が望まれる>
「なぜ韓国と中国はアジアの仲間外れになったのか」。2013年12月8日に掲載された朝鮮日報のコラムは、最近の韓国人の心境を端的に表現している。筆者は同新聞の鄭佑相政治部次長だ。若手記者に属する。以下、要約して引用する。
<日本の集団的自衛権をめぐる問題で、韓国が複数の国から「不意打ちを食らった」感があることは否定し難い。韓国の同盟国である米国が、韓国ではなく日本の肩を持つことは残念だが、衝撃的とまではいえない。米国と並び日本の同盟国に挙げられるオーストラリア、そして日本の軍事的影響力の外にある欧州連合(EU)が日本の側に立つことも、理解できないことではない>
<しかし韓国・中国と同じく第2次大戦で日本の侵略を受け、かつ現在進行形の「従軍慰安婦」問題を抱えて「反・集団的自衛権戦線」に加わって当然のフィリピン・タイ・マレーシア・インドネシアなど東南アジア諸国が、集団的自衛権を言い換えた「積極的平和主義」を支持しているのはショッキングだ。これらの国々すら日本の肩を持っていることから、集団的自衛権の問題で、韓国と中国はアジアの「仲間外れ」になった>
日本人の目から見れば「何を今さら言っているのだろうか」という程度の記事だが、それほど最近の韓国は「井の中の蛙」だったということだ。パク・ヨンマン大韓商工会議所会長が最近の会合で、14年の韓国経済を展望してこう述べた。「先進国の景気が良いというのに、なぜ韓国は良くないのかという、苛立ちの混ざった憂慮が出てくる可能性が大きい年になるだろう」と語った。
最近の日本の世論は、韓国に対して、極めて冷淡だ。これはイ・ミョンバク、パク・クネと続いた保守政権が、日本側の期待とは裏腹に「反日」姿勢をとっていることに、不満の原因がある。「日韓の首脳会談を急ぐべきだ」。韓国の内外で、この声が高まっている。パク大統領が安倍首相と対座する決断に踏み切れるか。14年の韓国を占う重要な試金石になってきた。
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<プロフィール>
下川 正晴(しもかわ・まさはる)
1949年鹿児島県生まれ。毎日新聞ソウル、バンコク支局長、論説委員、韓国外国語大学客員教授を歴任。2007年4月から大分県立芸術文化短期大学教授(マスメディア論、現代韓国論)。
メールアドレス:simokawa@cba.att.ne.jp
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