前回に続き「表1」を参照していただきたい。預金残高順位表の続きである。
第12位は佐賀銀行、第13位は熊本銀行、第14位の西京銀行までが預金残高1兆円超の銀行である。このなかで西京銀行が13年12月末に、長年の悲願であった1兆円銀行の仲間入りしたことだ。これで九州・山口・広島の地銀22行のうち、銀行としての1つの大きな目安である1兆円超の銀行が14行、1兆円未満の銀行は残り8行となった。
かつて西京銀行は日銀出身の大橋光博元頭取のもとで、株式上場を目指したが頓挫し、今も非上場のままだ。またインターネット関連企業のライブドアと提携してインターネット専業銀行「西京ライブドア銀行」の設立構想や、邦銀初の女性副頭取を登用するなど、派手なパフォーマンスで話題を集めたが、不祥事件発生による責任を取る形で2006年(平成18年)6月末に辞任している。
その混乱を鎮めるため後任にはプロパーの渡邊孝夫相談役が就任。渡辺頭取は前頭取が進めていた東京戦略の見直しと地元回帰路線を掲げた経営改革に乗り出した。下表2は西京銀行が1兆円銀行に到達するまでの預金残高の推移表である。7年越しにその成果が現われたと言えるのかもしれない。参考までにライバル行である山口銀行の推移を併記した。
11/3月期の7,900億円から13/12月末の1兆200億円まで約2年9カ月で達成している。その裏には西京銀行にとってラッキーな面があったとも言える。それは11/10月に山口銀行が九州の営業を分割譲渡して北九州銀行を設立。それと共に優秀な人材を配置したため、山口県内の営業が手薄になったことだ。それを如実に物語っているのが、1年で1,342億円(年率16.9%)増やした12/3月期の預金残高9,265億円といえよう。
もう少し詳しくその中味にスポットを当てたのが13/3月期における山口県内の預金残高およびシェアを示した下表3である。
13/3月期は前期の反動から9,469億円(204億円増)とやや低迷。山口銀行は4兆9,172億円(658億円増)となっている。この表からわかるように、西京銀行は預金残高の91%を山口県内で集めており、山口銀行は76.7%。地元回帰が軌道に乗り1兆円銀行を達成した西京銀行は、再度上場に向けた動きを加速するものと見られる。
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