中国高級車販売が低迷 反腐敗でアウディが矢面に

　習近平の反腐敗運動が早くも政府機関の高級車の購入や使用に影響を与えている。最新の統計では、中国でアウディやBMW、ベンツなどの高級車の売上げが大幅に減少し、なかでも政府公用車となっているアウディは2014年に大きな打撃を受けることが予想される。また日本車にもその影響が及ぶことは間違いない。

　2012年中国政府は『党政機関公用車選用車型目録管理細則』を発表、輸入車と合弁高級車のほとんどが政府機関の購入リストから外されている。このことにより、2013年１～11月の高級車の輸入量は前年同期比で11％減少し、わずか１万4600台にとどまった。しかし2013年秋、中国政府は再度通達を出し、副部長級の官員のみ専用の公用車の使用を許可し、それ以外は公用車や専属の運転手の使用は許可しないとした。もし規定に違反した場合、免職となる。重いものでは公職追放ともなる。この規定が発表されてから、中国の各地方政府では公用車のたたき売りが相次いだ。地方政府のみならず、ほとんどの国有企業もこの規定に従って次々と公用車を廃止した。
　中国の中央政府機関と北方地区の地方政府ではアウディが高級官僚の標準公用車で、ほとんどの行政級の副庁局長以上の官僚には、アウディのA6などの高級車が与えられていた。
　北京市政府では副庁局長待遇以上の官僚が千人以上もおり、さらに北京市のナンバープレートの奇数・偶数制（運転できる日を奇数、偶数で分けている）の規制のため、多くの官僚は一人で２台所有している。
　アウディは政府高官の標準公用車なので、政府機関に出入りする時、警備員にチェックされることはない。そのため民間企業の経営者もアウディの高級車を購入して「偽公用車」としている。

　中国政府の公用車禁止により、アウディが真っ先に矢面に立つことになり、売上が一挙に減少した。日本自動車工業協会の調査によると、アウディA8Lは昨年９月より事実上15％の値下げに踏み切っている。アウディA6Lは春節以降、価格が20％も下落した。2013年、アウディの売上げは21％も増加し49万台に達した。しかし、2012年の37％増に比べると、大幅な減少は明らかとなっている。

　中国市場に出ているアウディの大部分は、アウディと中国第一汽車集団の合弁で生産されたものだ。中国政府が強力に反腐敗運動を推進しているなか、アウディ車の売上げはさらに大幅に減少するとみられる。一汽アウディ販売事業執行副総経理の葛樹文氏によると、現在2014年の販売状況は分からないが、大きな打撃を受けることは間違いないと語った。

　アウディなどのドイツ車のみならず、日本車も打撃を受けるだろう。というのはアウディ車は副庁局長以上の公用車で、日本でいう政府機関の課長や町長などのクラスでは、ホンダやトヨタ、日産やアメリカのGMなどの中等級の車（約20万元、300万円前後）を使用している。中国政府の規定ではこれらの官僚は専用の公用車を使用する資格はないとされた。そのため中クラスの公用車は全面的に廃止されるのは疑いなく、日本車への影響も避けられない。
　しかしながら多くの官僚が高級公用車の使用を禁止されても、個人の自家用車として中クラスの日本車にチャンスが生まれる。
2014年の中国の自動車市場で公用車は大幅に減少するが、自家用車は増加するだろう。異なった収入の個人消費者にいかに照準を合わせるか、外資自動車メーカーは大きな課題に直面している。

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