「安心して命を預けられないがん治療現場がある」―残念なことだが、世間ではそのような声を聞く。厚労省が「国、地方公共団体、また、がん患者を含めた国民、医療従事者およびマスメディアなどが一体となってがん対策に取り組むこと」と宣言しているにも関わらずだ。がんが日本人の死因第1位となり、2人にひとりは罹患者といわれているなか、この世間の声は聞き逃せない。当連載では、医療に不安を覚える人々のために、最先端の治療情報を収集し、先進医療と罹患者との架け橋とトップドクターとのルート作りに邁進するソニー生命保険(株)の吉田優貴雄氏に協力を仰ぎ、「がん患者を含めた国民が、がんを知り、がんと向き合い、がんに負けることのない社会」(厚労省)の実現を目指し、情報発信を行なっていく。
なぜ「最先端の治療情報」を収集し、「トップドクターとのルートつくり」をするのか?(後)
<的確な情報があれば、父はがんと向き合えた>
あまりの体調の悪さに抗がん剤の投与を断ると「(抗がん剤)治療しないのなら、(この病院には)いられません」と伝えられました。自宅で療養できる状態ではないので「しばらく入院させてほしい」旨を伝えると、まるで、最初からこのような経過がわかっていたかのように、事務的に「それでは、ホスピスを紹介します」と言われ、転院。
ここでも、納得の行く対応は望めず、1週間で退院し、自宅で4カ月の訪問診療、看護、介護後、最期の時を迎えました。
その後、治療中の検査データをもとに、他のドクターに話を聞くと「その状態ですい臓の手術はあり得ない。QOL(生活の質)が落ちるだけ」「すい臓手術前の検査で、肝臓転移はわかっていたはず」「手術をしたかったから、伏せていたのでは」という意見をききました。
亡くなる前に父から、ステージ4bを(遠隔転移をともなう、末期がんで膵臓がんの場合、5年生存率は1.4%で、手術をした場合は3.7%)を10段階の4段階目と思っており「手術をしなければ助からないが、手術+抗がん剤だと助かる」と言われて、手術を決断したと聞かされました。私は父に限って、ステージ4bの説明を過って理解するようなことはないと今でも思っています。
あの時、もう少し早く的確な情報を入手し、対処できれば、たとえ、余命は変わらずとも、手術と抗がん剤で苦しむことなく、家族の父として、経営者として、自分の納得がいく充実した半年を過ごせたのではないだろうかと、今でも悔いが残ります。
<お客さまとの同行治療>
不確かな情報に振り回され、父に十分な治療を施せなかったのでは?と後悔する私は、その後、次のような体験をしました。
ある経営者の方が、すい臓がんの肝臓多発転移で横浜での先端治療中に脳に転移が見つかり、急きょ、東京築地の脳専門先端治療病院に救急搬送で移動した時のことです。精密検査の結果、脳に数カ所の転移が見つかりました。肝臓がんの治療が順調だった矢先だけに、ご家族はご本人に伝えるのを躊躇されていました。
経営者の方が私のお客様であったこともあり、ドクターに相談すると、「私も病院の経営者の立場で言わせてもらいます。お父さんも経営者として、数えきれない決断をご自分で下してきたはずです。ありのままを伝えず、本当に本人が納得できる判断ができるでしょうか?すべての情報を把握した上で(がんと)闘う覚悟ができるのではないですか?」と言われ、結果、お客さまは納得され、治療に臨まれました。
このとき、やはり確かな情報こそが、がんに負けない生き方の基盤を作るのだと実感した次第です。
「がん」と診断された時点で30%の人がうつ状態(頭がまっ白)になり正常な判断ができなくなるとも言われています。また「心臓」の手術方法次第で社会復帰に劇的な差が生じます。
しかし日々進歩する先端医療を背景に「対策資金」と「的確な情報」があれば、最適な判断が下せるようになったのも現実です。生命保険事業に携わる者として、かけがえのない皆さまが大病された時に「的確な情報」と「対策資金」が備わってこそ「真に役に立つご自分の人生に対する保険」になると私は思っています。
そのために私は「最先端の治療情報」を収集し、安心して任せられる「トップドクターとのご紹介ルートつくり」をしているのです。
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