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逆風を走り抜けるJR九州(3)
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2014年2月26日 14:00

 九州全体を網羅する軌道。その主役と言える存在が九州旅客鉄道(JR九州)だ。国鉄の分割民営化にともない生まれた同社は、当初より鉄道事業での苦戦が予測されていた。そんななかでも営業段階で利益を計上するに至り、現在も株式上場に向けて努力を重ね続けている。JR九州の行動から見える企業目的は、まさに「九州浮揚」である。地域を活性化させて人の動きを生み出し、鉄道業を守り続ける。その陰には多くの工夫と努力が払われているようだ。

 1986年、国鉄改革関連の法案が採決され、翌1987年、国鉄は分割民営化されることとなった。そのときの債務は37兆円を超えていた。
 国鉄民営化にともない、資産の売却などで借金返済を行なう特殊法人の国鉄清算事業団と鉄道事業の運営を行なう現在のJRグループが生み出された。国鉄の借金は25.5兆円が国鉄清算事業団に、残りの11.6兆円がJRグループに振り分けられることとなる。国鉄清算事業団は、その資産売却益などで返済をする予定ではあったのだが、バブル景気に乗ることもできず、利子がかさみ、結局、返済はうまくなされることはなかった。1998年に廃止されることになるのだが、残債約30兆円はそのまま国の借金に組み込まれることとなる。

 一方、JRグループは民間企業群(株主が国という状況ではあり、現在も一部その状態は続いている。公益性が高いため特殊会社とされた)としてスタートすることとなった。国鉄をそのまま民営化するのではなく、地理的・職域的に分割し、それぞれで再建を目指すという方向での民営化だ。日本を地理的に、北から北海道、東日本、東海、西日本、四国、九州の6つに分け、それぞれに旅客運送をする旅客鉄道企業6社と、貨物運送をする日本貨物鉄道(JR貨物)、情報処理の鉄道情報システム(JRシステム)、公益財団法人で技術研究を担当する鉄道総合技術研究所(JR総研)の9社に分割された。後者の3社は職域的に分割されたものであり、それぞれの領域を全うすることが求められるのだが、地理的に分割された旅客6社が問題だった。関東、中部、関西など、大都市を擁するエリアと、そうではないエリアとが存在することになるからだ。当初より北海道、四国、九州の3つは経営的な苦戦が予想され、それゆえに国鉄の残債は、その3エリアで営業する3社には残さないことになる。つまり、本州で営業するJR東日本、JR東海、JR西日本が国鉄の債務の一部11兆円あまりを引き継いだのだ。加えて、本州以外の3社には経営の安定化のための基金も用意され、その運用益は今も収入の柱となっている。

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(つづく)
【柳 茂嘉】

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