韓国釜山市出身のプロ野球選手、李大浩(イ・デホ)選手が福岡ソフトバンクホークスに入団したことで、釜山の旅行業界が動き始めた。
イ・デホ選手は、韓国のスター選手。130キロの巨漢に愛くるしい表情で、野球ファンのみならず、一般の韓国人からも好かれている。1982年・釜山生まれのイ・デホ選手は、幼い頃に父が亡くなり、母も再婚したため、祖母の家で育てられるという不遇な幼少期を過ごした。高校時代の活躍を買われ、2001年から11年までは地元釜山のロッテジャイアンツに所属(06年と10年に三冠王を獲得)。09年のWBCにも出場するなど、韓国のトッププレーヤーとして活躍したあと、12年からは日本のオリックスに移籍した。
ある韓国人通訳者は「イ・デホ選手は、現在、チュシンス(秋信守/現・テキサスレンジャーズ)選手と並んで、韓国ではトップクラスの人気です。幼少期の不遇な生活など、多くの韓国人が同情し、より一層『応援したい』という気持ちがあるのです」と話す。
イ・デホ選手が愛されている要因の1つには、野球での実績のみならず、そのキャラクターがある。韓国でのヒット映画「ヘウンデ」にも出演、そのほか、テレビドラマにも友情出演している。また、12年に韓国KBSで放送されたスポーツドキュメンタリー番組では、成績不振で解任された岡田彰布監督について「今の自分があるのは岡田監督のおかげ。成績が悪くて、監督が解任。ゴメンナサイ・・・」と涙を流すシーンが放送され、韓国人視聴者の感動を呼んだという。
イ・デホ選手が、今シーズン福岡に移籍したことで、釜山の旅行代理店業界に火がついた。仕掛けの先陣は高速船ビートルだ。釜山から福岡へのビートルを使ったツアーはこれまでもあったが、「イ・デホ選手出場試合観戦」というメインイベントができることで俄然売りやすくなったという。
韓国人通訳者が言う。「福岡は観光的な面での『魅力』が少なかった。イ・デホ選手観戦が主目的で、試合後は福岡を楽しむという広がりが出てきました」。
釜山の旅行代理店が企画を開始しているのは、1泊2日の試合観戦をパックにしたツアーが中心。イ・デホ選手のホークス移籍で、韓国メディアも多く押し寄せる見込みで、福岡には今後さらに、韓国からの『訪問客』『ツアー客』が増えそうだ。
※記事へのご意見はこちら