一般財団法人医療経済研究・社会保険福祉協会(社福協)は26日、東京都内で第27回健康食品セミナー「時間栄養学とスポーツヘルスフード」を開催、50人以上が参加した。
柴田重信氏(早稲田大学先進理工学部教授)は「時間栄養学について」をテーマに講演。時間栄養学や生体リズムについて解説した。
柴田氏は、人の体内には、約24.5時間周期のリズムを刻む概日リズム(サーカディアンリズム)と呼ばれる体内時計が備わっており、この働きにより、睡眠と覚醒、体温や血圧のリズムなどが変動していると説明。近年、この体内時計、すなわち生体リズムと健康との関係が各方面で注目され、「時間生物学」や「時間治療学」、「時間薬理学」などが発展してきた経緯を話した。
さらに、体内時計の視点から考えられた栄養学が「時間栄養学」で、食事も摂取する時間によって栄養素の働きが異なる可能性も考えられると指摘。健康と体内時計との関係の研究や、体内時計を正しくリセットする食品や機能性食品についても研究を進めていることを紹介した。一例として、DHA・EPAなどの魚油はインシュリン値を上昇させ、体内時計をリセットすることなどを挙げた。
柴田氏は、「時間栄養学と機能性食品とのかかわりには、まだわからない点がある。体内時計の基本的性質である『位相、周期、振幅』に作用する機能性食品を見出せれば、(生体)リズム障害の改善に役立つだろう。また、血液中のブドウ糖や中性脂肪の濃度が、摂取時刻によって異なることから、既存の機能性食品やトクホも摂取タイミングが重要になるだろう」とした。
亀井明子氏(国立スポーツ科学センタースポーツ科学研究部スポーツ栄養学グループ・先任研究員)は、「スポーツ現場における栄養補給について」をテーマに講演した。
亀井氏の所属する国立スポーツ科学センター(JISS)では、「毎日の食事こそ、勝つための体づくりとコンディショニングに重要」と考え、アスリートへの栄養サポートを行なっているという。内容は「アスリート向けレストランの栄養管理」、「スポーツ栄養情報の収集と発信」、「試合・合宿での栄養サポート」、「個別栄養相談」などとしている。
亀井氏は、「遠征先やオリンピック開催地など、どのような食事場所でも自己調整のできる力を身につけておくことが重要」とし、アスリートとして、バランス良く必要な栄養素を摂取できる"基本的な食事の形"の指導に努めていることを紹介した。
また亀井氏は、JISSがロンドンオリンピック競技大会日本代表選手および候補選手へサプリメントの使用状況を調査したところ、81.2%にあたる448名の選手が、何らかのサプリメントを摂取していることが明らかになったことを説明。種類別に見ると、アミノ酸系サプリメントが一番多く、次いでプロテイン系、ビタミン系の順。摂取目的は1位が「疲労回復」、2位が「食事で不足する栄養素の補給」、3位が「競技力向上」だったとしている。JISSでは研究課題の1つとして、内外分野と連携・協力して作成した「サプリメント@JISS」をホームページ上に掲載し、JISSとしてのサプリメントの考え方を情報発信していることについても紹介した。
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