<グループ特性活かし地域貢献に積極的に取り組む>
イオン琉球が、会社の利益を地域貢献に投じていることはあまり知られていない。
「沖縄県民の生活の豊かさ」の部分で、店舗での沖縄県産品販売もさることながら、沖縄県物産公社と共同で全国各地のイオングループの店舗で沖縄物産フェアを開催し、県内の特産品のPRに一役買っている。昨年1月にイオン北海道とマックスバリュ北海道の計81店舗で実施したほか、5月に東北、東海のイオン店舗、7月には中四国の山陽マルナカとマルナカの店舗、8月に関東のイオン、9月にはイオン九州で実施した。グループの特性を活かし、県内産品の全国での拡販に注力している。
地域貢献という点でイオングループは新店開店の際、植樹することで知られているが、イオン琉球でも同様に植樹している。
さらに同社では県と共同で「クメノサクラ」を県内に広く普及することと、新しいサクラの名所づくりを目的に恩納村の県民の森でサクラの木を植えるクメノサクラ植樹祭を実施し、今年で3年目を迎えた。
このほか、2008年から民間救急ヘリ「MESHサポート」の継続的な支援活動を行っている。
12年5月、沖縄で開かれた太平洋サミットでは16カ国の首脳会議が行われたが、その際、16カ国の高校生60名を対象に宮古島で宿泊を含めた交流を実施。各国の高校生たちが、いずれその国々の政財界でトップになった時、日本と親密になってほしいという目的でイオン1%クラブと同社が支援した。イオン1%クラブとは、グループ優良企業が拠出した税引前利益の1%を使って、環境保全や国際的な文化・人材交流などに取り組んでいるもの。さらに翌13年8月と10月に沖縄とミャンマーの高校生らが双方の国々でホームステイ体験を行うといった企画も後援。地域のみならず国際的にも積極的な支援を行っている。
昨年3月、新石垣空港の就航を記念して「石垣島ゆいまーるワオン」を発行。ワオン利用額の一部を寄付する地域貢献事業である。昨年はJTAと協力し、新石垣空港の石垣―高松(香川県)のチャーター便を就航し、双方の地域住民を各150名招待した2泊3日旅行を実施した。すでに発行している首里城ワオンは首里城基金へ、エイサーワオンは県文化振興会へそれぞれ寄付をしている。
<沖縄の地に貢献している自負がある>
同社とイオングループの社会貢献活動は枚挙にいとまがない。だが、沖縄という独特な風土がこれらの活動を際立たせないでいる場合もある。
12年2月に同社の物流体制の見直しの際、地場の取引先との間で、物流体制を変更した。といっても1次取引から2次取引となり、取引自体はなくなっていないのにも関わらず、一部事実と異なる書き方で報道され、地場企業を切り捨てたという風評が立ったことがある。末吉社長は自信持って言う。「我々は常に沖縄の取引先と協力し沖縄県民の生活の豊かさ向上に貢献したい」と。イオン琉球は全体の取引の85%を県内の取引業者を通じて行っており、地場を切り捨てている訳ではないようだ。
取材を通じて、同社の様々な取り組みのなかで、同社のみならずイオングループが本腰を入れて沖縄の地で地域貢献する姿勢は十分に感じられた。
今後はコンビニ最大手の上陸も噂されている沖縄だが、同社は那覇市内を中心にマックスバリュエクスプレスを出店していく。「沖縄をもっと元気にするために今後も積極的な出店と地域貢献を行なっていきたい」と末吉社長は力強く語った。
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