「表1」の貸出金残高について検証していくことにしたい。
2.貸出金残高について
・貸出金残高についても福岡銀行が7兆円台に乗せ、ダントツの第1位。第2位に西日本シティ銀行が5兆円台後半で、第3位に広島銀行で4兆円台後半、第4位には山口銀行の3兆円台前半が続く。第5位に肥後銀行、以下鹿児島銀行、もみじ銀行、第8位の大分銀行まで預金残高の順位と同じであるが、預金残高第9位の十八銀行以下、貸出金残高の順位に変動がある。そこで貸出金残高順に並び替えたのが下表5である。
・順位に変動があったのは、預金残高第9位の十八銀行が第11位に後退。第14位の西京銀行と第15位の北九州銀行、第17位の筑邦銀行と第18位の宮崎太陽銀行との順位が入れ替わっている。
・九州地区の地銀(18行)の中で貸出金が1兆円以上の銀行(10行)の預貸率を見ると、福岡銀行が預貸率82.6%、西日本シティ銀行は81.2%と非常に高いのが目につく。それに続くのが熊本銀行の77.2%、宮崎銀行の72.2%であり、資金需要に十分に応じていると言えよう。
・預貸率が60%台は、あともう少しで70%台の鹿児島銀行が69.8%、大分銀行、佐賀銀行が共に64.0%、肥後銀行63.7%、親和銀行62.5%となっている。残る一行は十八銀行で、57.4%となっており、22行中でも最下位と運用難に陥っている状況といえよう。
・この表から言えることは、福岡銀行と西日本シティ銀行は、人口が150万人を突破した福岡市に本店を構えており勢いがあるということだ。九州の中心である福岡市の存在が飛び抜けて高く、両行にその資金需要が集中していると見られる。
・一方肥後銀行や鹿児島銀行など各県のトップバンクであっても、少子高齢化による地域経済の衰退によって貸出金を増やしたくても相手の企業がいないというのが本音なのかもしれない。
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