介護施設「さわやか倶楽部」とカラオケ店「コロッケ倶楽部」を柱に、業界をリードする(株)ウチヤマホールディングス。昨年には東証二部に指定替えを受け、さらなる成長を続けている。事業を支える理念や今後の戦略など、同社代表取締役社長の内山文治氏にお話しをうかがった。
<今や東証二部上場企業、視線はすでに一部へ>
――昨年末には東証二部への指定替えがなされました。おめでとうございます。
内山文治氏(以下、内山) ありがとうございます。弊社が大証のジャスダック(スタンダード)に上場したのが2012年の4月20日。おかげさまで、昨年はウチヤマグループとして順調に事業を拡大し、13年12月には東証二部に市場変更を果たすことができました。これからさらに大きな目標に向かって進んでいくためにも、年頭にあたり、グループ全員で「価値観と理念の共有を確認し合おう」と呼びかけたところです。
――大きな目標の1つは、やはり東証一部ですか。
内山 そうですね。目標を掲げることの大切さは言うまでもありませんが、お客さまやお取引先さま、投資家の方々に安心してお付き合いしていただくためには、企業としての信用力をさらに高めなければなりません。また、弊社で働く皆さんが、誇りと自信を持って仕事に取り組んでもらえるようにするためにも、一部上場は大きな意味を持ちます。この目標をできるだけ短期間で成し遂げるべく、強い意欲を持ってさまざまな課題に挑戦しています。
――二部から一部への指定替えを受けるには、時価総額や純資産額などで、もう1ランク上の基準が求められます。どの段階まで来ていますか。
内山 それらの基準もクリアになりつつあります。唯一、基準を満たしていなかった株主数(東証一部では2,200名以上が必要)についても、昨年の12月に行なった増資を機に増えていることを想定しています。従業員持株会やお取引先さまも株式を持っていますので、良いサービスを提供してお客さまに喜んでもらい、株価を上げて株主にも喜んでもらえるようにしたいですね。
<乗り越えた倒産の危機、不動産事業からの転身>
――私が初めて内山社長にお会いしたとき、御社は貸しビル業を柱とする不動産会社でした。今では業態も大きく変わっています。そのあたりの経緯を簡単に教えてください。
内山 私の家はもともとは米屋で、父が倒れたときに私が継ぐことになりました。私の代になってすぐに支店を出したのですが、そこが道路用地として買い上げられ、その際に得た資金で土地を購入したことが、不動産に携わるきっかけでした。その後、1971年に内山ビル(株)を設立し、本格的に不動産事業を手がけることになります。
――「U」の文字を象ったマークを掲げる御社のビルを、至るところで見かけました。他方で、バブルの崩壊も経験されましたね。
内山 初めて5階建ての賃貸マンションをつくったのは、私が29歳のときです。これを皮切りに、北九州や福岡、東京などで300以上のビルや分譲住宅などの建築に携わり、 会社も順調に成長を遂げることができました。ところが、93年頃に九州地域でバブルが崩壊し、弊社も数十億円の負債を抱えることになります。ただ、同業他社が相次いで倒産するなか、弊社は幸いにもキャッシュフローに恵まれていました。貸しビルの家賃収入が月に1億円以上あったことに加え、91年から運営を始めていたカラオケ店も安定した現金収入をもたらしてくれたからです。取引先の支援と社員の奮起にも支えられ、倒産の危機を乗り越えて今日があります。
――そうしてカラオケや介護、飲食事業に軸足が移っていったのですね。多くの不動産会社を見てきましたが、幅広い事業分野に通じる内山社長の多才さには驚かされます。
内山 今の事業は、むしろ若い社員たちが勉強してつくり上げてくれたものですよ。もちろん、そうした事業を進めるうえでも、物件情報の入手や立地の良し悪しを判断するために、不動産のノウハウは欠かせません。長年培った不動産事業のノウハウと、新しい事業のシナジー効果が弊社の強みであることは間違いないでしょう。最近では、景気の回復によって地価も上がりつつありますから、昔の血が騒いで仕方がありませんよ。
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<COMPANY INFORMATION>
所在地:北九州市小倉北区熊本2-10-10
設 立:2006年10月
資本金:22億2,239万円
売上高:(13/3連結)199億6,800万円
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