創業1世紀を超える海洋土木事業のパイオニアである若築建設(株)の子会社の(株)都市空間。同社は1957年9月に、若築不動産(株)として東京都港区で設立し、65年8月に現在の北九州市に本社を移転。都市空間の商号となったのは2001年9月である。若築建設が発祥した北九州のまちを中心とした、戸建住宅、宅地開発・デベロッパー、土地区画整理事業を手がけ、今日に至る。我が国の海洋土木事業・マリコンの代表格である若築建設が、海上だけでなく陸上でもそのノウハウを活かしまちづくりに寄与するという意義・目的で、同社を立ち上げたと言われる。
同社の実績は、まず戸建住宅の開発事業が挙げられる。同社の戸建開発は、単なる宅地造成を行なって住宅を建てるだけでなく、出口である営業先──ハウスメーカーを決めたうえでの事業を構築するビジネスモデルである。それは、同社が本格的に戸建住宅事業へ20年以上取り組んだ3,000戸を超える供給実績が物語っている。
近年では、北九州市門司区吉志新町に開発された『シンプルライフ吉志』の宅地分譲事業に参画している。開発総面積約34ヘクタール、総戸数600戸の規模で、参加するハウスメーカーは大手・地場合わせて14社。『人が街をつくり、街が人を育てる』とのコンセプトで、まちの住民全体で子育てを支援するまちとしてクローズアップされ、09年には同町の町内会グループが『にっけい子育て支援大賞』を受賞するなど、その取り組みが注目されている。教育、公共、医療、商業施設など生活インフラの整備とともに、専属ガードマンが常駐する『パトロールセンターの開設』を民間事業者とジョイントし、防犯活動の担い手となっている。
このように、同社はその時流に沿った付加価値の高い住空間と、心を満たす快適な住環境の開発・提供に取り組んでいる。そして、土地所有者とのパートナーシップとコミュニケーションを大切にしており、遊休地の抱える問題から有効活用、地域の魅力づくりまで、きめ細かくプロデュースするのである。
今年1月1日付けで、新たに同社の代表取締役に就任した足立浩啓氏。足立氏は若築建設(株)に入社後、門司港ホテルの開発など22年間にわたって、福岡を中心とした九州地方の土地開発とともにまちづくりに取り組んできたエキスパートである。「北九州のまちは一見地味ですが、世界の最先端技術を開発・発信する企業などが集まっております。人口も100万人いるのです。この北九州の持ち味を活かせるまちづくりを進めていきたいです。それは、住宅の開発だけでなく、産業の振興などにも視野を広げていきたいと思います」(足立代表)。
今後、同社はまちづくりのエキスパートとしての長年の経験と実績により、北九州のまちづくりに留まらず、福岡の都心部や周辺地区の開発での活躍も期待される。
<COMPANY INFORMATION>
代 表:足立 浩啓
所在地:北九州市若松区浜町1-4-7
設 立:1957年9月
資本金:5,000万円
事業内容:総合不動産業
売上高:(13/3)2億1,526万円
※記事へのご意見はこちら