宗像市に本社を構える民生用ロボットメーカー(株)テムザックが歯科研修用ロボット「デンタロイド(昭和花子)」を海外初出荷することが、2月27日、(株)データ・マックスの取材で明らかになった。
デンタロイドは口の中の構造はもちろん、舌の動き、唾液の分泌、顔の表情、まばたきから視線の動きまで再現した、人体を模した歯科研修用ロボット。出荷先はサウジアラビアで、同国内にあるプリンセスヌーラ大学(PNU)で歯科研修に用いられる。
今回の受注は2体。民生用の実用ロボットが国外に出荷されるケースは、おそらく日本初だという。テムザック代表の髙本陽一は次のようにコメントした。
「日本のロボット技術が海外で用いられることに大きな喜びと、今後の期待を感じております。これの受注を皮切りに、世界市場で私たちのロボットが活躍してくれることを願っています」
同社はさまざまな研究機関と連携し、ロボット開発を成してきた。今回のデンタロイドは昭和大学の要望によってつくられたもの。現場の声を忠実に満足させたことが奏功した。量産は台湾の関連会社が行なう。テムザックは日本のみならず世界各国に販売ネットワークを持っており、今回の受注は、その成果が上がったもの。研究主体ではなく、販売網まで完成しているロボット企業はまれだ。ちなみにデンタロイドの販売は、日本国内ではヨシダが、海外はニッシンが、サウジアラビアではSAMIR社が行なう(図参照)。
「ロボットの開発は、アイデアの骨子がまとまることと、商品化への果てしないプロセスが必要です。10年かけて、ようやくひとつの商品が世に送り出せたことを、とてもうれしく思っております。全国、全世界に民生用実用ロボットが普及してくれたら、とてもうれしいですね」(同)
同社は導入したらすぐに生活の質を高めるロボットの開発を目指し続けている。そのための技術を磨いてきた成果が、今回の受注につながったのである。
ロボット技術は幅広く応用することができるという。必要性の声を拾い上げて、それを実用化、商品化する。そして量産し、市場に投入する。テムザックのビジネスモデルの最初のドミノを弾いた格好だ。この受注がどれだけの波及効果を生むのか。生活にロボットが組み込まれる社会は生まれるのか。これからテムザックの真の挑戦が始まる。
※記事へのご意見はこちら