中国のベテラン人気司会者・趙忠祥氏は、CCTV(中国中央電視台)や北京テレビの音楽番組、トーク番組に進行役として「引っ張りだこ」の状態だ。中国人司会者は、学生時代から、演技や唱歌の訓練を積んでいることもあり、表現において「多才」な人材が多いが、趙氏も「ロシア語堪能」で、歌謡番組でロシア民謡を揚々と歌い上げたりする。
長年テレビ業界を支えてきた趙氏は、旧正月年末の大型歌謡番組「春晩联会」や中国共産党記念番組等では「総合司会」を務めるほどの「格」で、視聴者や出演タレントからは「趙老師」(先生)と呼ばれ、「大御所」として尊敬の眼差しを送られている。
しかし、この趙忠祥氏だが、出演番組の画面を見ると、外国人視聴者には「違和感」を覚える点がある。それは「髪の毛」。どう見ても「かつら」なのである。日本では、全国ネットの朝番組を担当する司会者の髪の毛が不自然なことから
「オヅラさん」とネタにされるが、この「オヅラさん」の髪の毛よりも「不自然」そのもので、番組を見ていると、趙氏の「髪の毛」の部分にばかり目が行ってしまうのである。
ある北京のテレビ関係者に「趙忠祥の髪の毛は本物か?」と聞いてみた。関係者曰く「かつら(假发)ですよ。ただ、誰もそのことには触れません。ずいぶん昔からあの『髪』ですが、趙先生は尊敬に値する人物ですし、番組でもそのことがネタにされることはありません」
「公然の秘密」ともなっている趙忠祥氏のかつら。中国人関係者は知っていても「どうでもいいことだし、面白いと思ったこともない」と意に介さない。そもそも、日本人が「かつら」に対して過敏になっているとも言えなくもない。オヅラさんをはじめとして、関西の大御所作曲家、ベテラン若大将歌手など「かつらじゃないの?」という「疑惑」は他番組でも「ネタ」として囁かれ、「笑い」「いじり」の1つの材料にもなっている。しかし、中国では「かつら」を笑う文化はない。趙忠祥氏の「はっきりとわかる」かつら、さらに、堂々とした司会ぶり、歌いぶりを見るとそれがよく分かる。
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