介護施設「さわやか倶楽部」とカラオケ店「コロッケ倶楽部」を柱に、業界をリードする(株)ウチヤマホールディングス。昨年には東証二部に指定替えを受け、さらなる成長を続けている。事業を支える理念や今後の戦略など、同社代表取締役社長の内山文治氏にお話しをうかがった。
<さらなる成長への戦略、大都市圏への攻勢強める>
―― 一部への上場を見据えるとなると、事業規模を継続的に拡大していく必要があります。今後の事業戦略をどのように考えますか。
内山文治氏(以下、内山) 介護事業は、全国展開と都市圏集中展開の2つの方針で進めています。介護施設と一口に言っても、各地域にはそれぞれのニーズがあり、その地域にあった施設でなければなりません。そうすることで地元自治体の信頼を勝ち取り、展開を速やかに進めようという戦略です。たとえば、北海道の室蘭市には、かつての新日鐵の大異動で北九州から移住した方々が多くいらっしゃるそうで、地元自治体から「北九州型の施設をつくってほしい」とのご要望をいただきました。こうした要望も地域ニーズの1つですし、何より「さわやか倶楽部」の認知度が広がっている証でもあります。入退去しやすい弊社のシステムに対する高い評価もいただいています。
介護施設の展開は、東京、大阪、名古屋の3大都市圏に地元福岡・北九州を加えた4大都市圏が中心です。とくに首都圏では需要が大きく、施設が足りない状況が続いています。東京都心を中心に、ここ数年で千葉、栃木、埼玉にはかなりの数の施設を設ける計画です。
――カラオケ・飲食事業の出店も都市圏ですか。
内山 カラオケは、年に10カ所のペースで開店していく計画です。需要の大きい都市圏が、やはり中心となりますね。すでに東京都心に店舗をいくつか構えていますが、昨年オープンした新橋の店は売上好調で、今年の3月にも同じく新橋の銀座口に新店舗をオープンします。サラリーマンのまちですから根強い需要がありますし、週末などはお客さまでいっぱいですよ。
―― 一気に拡大するにはM&Aの手法もあり得ますね。
内山 弊社の企業価値向上のため、適した相手先に関しては常にウォッチし、検討しています。
<充実した人材育成「心の教育」を重んじる>
――最後に、人材育成についてもおうかがいします。年間500時間におよぶ研修を通じて、若い世代に何を伝えられていますか。
内山 一言で言えば「心の教育」です。「ギブ・アンド・ギブ」の精神で人に喜んでいただくことが、やがて自分の喜びとして返ってくるということを、若いうちから経験してほしいと願って、新人研修では私自身も講義を行ないます。西洋は宗教でモラルの育成をしている部分がありますが、日本はそうした土壌が少なく、最近では倫理観が薄れてきているように感じます。コンプライアンスの徹底は当然ながら、地域に進んで貢献できる高い倫理観を備えた「人財」の育成に力を入れています。
――辞めた社員を再雇用するケースも多いと聞きます。
内山 弊社は、たとえ一度辞めた社員であっても、辞めた当時と同じ条件で雇用するようにしています。再び面接に来た元社員に「なぜ戻ってきたの?」と尋ねると、「(以前は面倒だと思っていたが)よその会社では、勉強させてくれないのが普通だと初めてわかった。これでは人間として成長できない」と言うのです。辞めた人間が笑顔で戻って来てくれる会社であることが、私にとっては何より嬉しく誇らしいことですね。
――内山社長は、この先、何を成し遂げたいとお考えでしょうか。
内山 これまでも、弊社の店舗には募金箱を設置するなどして、子どもたちの支援を続けてきました。お年寄りと子どもが楽しく暮らせる世界であってほしいと常々考えてきましたし、幼稚園や介護施設はそうした思いを託した事業でした。今後は障害者を応援する施設もつくりたいですし、社会に対してどのようにご恩返しをしていこうかと考えているところです。
――北九州は素晴らしい経営者を多く輩出しています。そうした経営者が集うかたちで、継続的に地域社会に貢献できる組織をつくるのも1つの方法かもしれません。本日はありがとうございました。
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<COMPANY INFORMATION>
所在地:北九州市小倉北区熊本2-10-10
設 立:2006年10月
資本金:22億2,239万円
売上高:(13/3連結)199億6,800万円
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