中国や台湾へ積極的に海外展開を行ない、「お好み焼+お好みソース」の味を広島発で海外にも広めている企業がある。それが「オタフクソース」だ。福岡でもすっかり馴染みとなっているが、実は、台湾でも多くの料理屋(特に日本料理店が)「オタフクソース」の幟を表に出し、台湾の一般家庭への浸透度も高い。今回、「オタフクソース」の現場統括者である国際事業本部海外営業部の宮田裕也部長に、アジアでの「現場の様子」を聞いた。
「台湾へ進出したのは、台湾が非常な『親日国家』であり、日本文化の普及も見受けられ、食文化も似ていることがきっかけです。現在は輸出している日本生産品を、日本からの出張で定期的に現地営業を行なっています。数年前から外食(レストラン等)、中食(コンビニエンスストア惣菜等)を中心に、お好み焼など日本メニューの提案営業を行なってきました。現在は内食(家庭内調理)市場にもアプローチを掛けており、順調な進捗状況です」
積極的に現地に赴く宮田部長をはじめとする海外チーム。堅調な展開を見せているが、台湾での展開初期段階ではハードルに遭遇したという。「お好み焼(大阪焼)メニューの認知、ソースの認知は日本に比べ低く、一からメニューや食文化の普及を行なわなければいけないことでした。それでも、日本のスタンダードを提案しながら、現地の味、価格、調理環境等に合せた独自の内容を培いました。関わる営業、スタッフ等の人財も『グローバル化』していく最初のエリアとして親日の台湾は有意義でした」
「オタフクソース」は台湾のみならず、中国大陸でも展開。こちらは初動段階とは言え、『国家間の問題』は少なからず影を落としているとのこと。「昨秋より中国・青島に生産工場を起ち上げ、主に現地内販向けに稼動中です。工場が青島に建ったことは非常に感慨深いものがありました。台湾に比べ、日本文化の浸透は無く、メニュー、ソースの認知にはまだまだ活動時間を要するでしょう。また、国家間の問題から起こる『反日活動』は我々のお客様に大きく影響があると感じています。小さな成功体験を積み重ね、中国で『お好み焼』『ソース』が大衆の皆さんに愛されるよう活動していきます」
アジア各地に精力的に足を運ぶ宮田部長に「今後の展開」について聞いた。「大陸ではまだまだ基礎的な販売量が少ないため、基本方針は変わりませんが、早く現地に根差さした活動が確立出来ればと思っています。台湾では、現在の活動を継続的に展開していく予定で『内食市場』にも更に挑戦していきます」
広島から、アジア、世界へ。グローバル展開をモットーに掲げる「オタフクソース」。日本の「ソース」は、「お好み焼」という日本の食文化とともに海外へ力強く羽ばたいている。
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