2010年4月に六本木の東京ミッドタウンに東京1号店「茅乃舎(かやのや)」を出店後、着実に知名度を上げる久原本家グループ。同社の持つ商品群はレベルが高く、椒房庵(しょぼうあん)の明太子は明太子の発祥の地・福岡においても常に人気で、雑誌、HPの人気ランキングでトップを飾ることもある。同社の人気調味料である茅乃舎のだしも好調で、これらを扱うアンテナショップも着実に増加している。
<リニューアルを機に併設したイートイン好評>
久原本家グループは、3つのブランド(「やきとり屋さんのキャベツのうまたれ」「椒房庵のからしめんたいこ」「茅乃舎だし」)が有名な会社である。
昨年は創業120周年を迎えるにあたり、7月1日に(株)久原本家グループ本社を設立し、経営管理本部およびマーケティング本部の機能を有するグループ全体のホールディングカンパニーを立ち上げた。グループ内企業として(株)久原本家食品(製造・開発・飲食部門)、(株)久原本家(通販・店舗販売部門)、(株)久原醤油(流通営業、OEM部門)の3社とともに、長期的視野に立った経営戦略をスタートした。
同社は1893(明治26)年7月に創業し、120年の業歴を有する老舗企業。1996年10月に4代目社長に就任した河邉哲司氏は、これまで先代らが築き上げてきた事業を、伝承と革新を繰り返しながら存続してきた。
従来は醤油の製造販売が中心であったが、その後、調味液、スープ、タレ類などの加工調味料の製造販売へと事業を転化。そして河邉社長自らの精力的な営業活動によって、小売業はもとより、飲食業界を含めた各種業界からのあらゆる味の要望に応え、信頼を得ている。
同社の「茅乃舎だし」は、国産原料を使用。九州・博多の定番だしである焼きあご(焼き飛び魚)をはじめ、かつお節、真昆布、うるめいわし、熊本県天草灘の海塩を使っている。
福岡県人にとっては、馴染みの深いものであるため、実際に使ってみると、とても美味いだしが取れる。このだしは関東地方でも人気の商品だが、関東地方で受け入れられるために味の調整を行なっているわけではない。
同社の河邉社長は昨年1月のインタビュー時に「味はまったく変えておりません。たしかに当初は味覚の違いを心配していました。たとえば九州ならではの焼きあごを使った茅乃舎のだしが果たして九州以外の皆さまに受け入れてもらえるだろうか、とも思いましたが問題なく売れています。今さらながら感じるのは、東京というマーケットの大きさですね」と語るほどだ。
同社は、2010年4月に出店した東京・六本木の東京ミッドタウンに調味料販売の「茅乃舎」を、13年4月に売場面積を従来の3倍にするリニューアルを実施した。同店には同社の看板商品である「だし」を使った美味しい料理を食べることができるイートインコーナー「汁や」を新たに設けた。メニューは「十穀茅汁」「九州の豚汁」「根菜たっぷり南瓜汁」、季節限定商品の「ぼるしち」などにおにぎりをセットで楽しめるというもの(13年11月時点)。評判は上々で、平日のランチタイムには行列ができるほどだ。午後3時くらいから5時までは比較的空いているものの、その後は再び行列ができるほどの賑わいぶりという。人気の理由はさまざまだろうが、出店から3年が経ち、リピーターを含めた茅乃舎ファンがかなり増えたことにあると思われる。
この店舗の看板には、「すべて化学調味料・保存料無添加。つくりたてをお出し致します」との表記があり、自然食ブームのなか、利用者の心をくすぐるのだろう。
<COMPANY INFORMATION>
(株)久原本家グループ本社
代 表:河邉 哲司
所在地:福岡県糟屋郡久山町大字猪野1442
創 業:1893年7月
売上高:(12/6連結)約129億円
URL:http://www.kubarahonke.com
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