中国「大陸」からの観光客は、福岡の繁華街にも、台湾観光地にも多数流れ込んでいるが、韓国にも同様の現象が起きている。ソウルや釜山のレストラン、喫茶店(スターバックス、シアトルズベストなど)、百貨店、地下鉄など公共の主要機関は中国人で溢れ、地元民以外には利用しにくいはずの「路線バス」にも中国人乗客が多いと言う。
かつては日本人観光客が多かった韓国の主要観光地。しかし、円安や北朝鮮の政情不安(韓国と北朝鮮は別の国家だが、『同じ半島』として括ってみる傾向が日本人の年長者には強い)、日韓領土問題などから、日本人の姿は減り、代わって、中国人の姿が圧倒的に増えた。かつては紫や赤などの原色系の色を着ていれば「中国人」と、服装の色合いでの判別が可能だった。しかし、最近は、ユニクロなどアパレル業界も国境を越えての展開をしているため、若者ファッションが統一化し、見分けがつきにくい。それでも、地元韓国人にとってみれば、中国人と日本人の「見分け」は比較的容易だと言う。ある在日本韓国人通訳者は言う。「家族連れや7~8人のグループで固まっていれば『中国人』、1人で歩いていれば『日本人』ですよ」
中国人は家族やグループ単位で行動することが多い。一方、日本人は「バックパッカー」に代表されるような個人単位の旅行が、韓国に限らずタイや台湾、アメリカなどでも多く見られる。韓国免税店の最近の光景について通訳者が教えてくれた。「中国人は列に並ばず売り場のところで押し合っている。日本人は後ろに立って人が引けるのを待っている。韓国人は店員を呼びだして直接買おうとする・・・」と。
大量に押し寄せ、免税店で一気に買い物をする中国人。日本人のように吟味しないため、日本人は「人の手に触れている」として敬遠しがちな店内展示品なども構わず一気に購入する。親戚、知り合いなどに配るために化粧品、家電なども十数個など大口で購入するので、免税店側としてもありがたい。ソウルの大手免税店では「中国人専用カウンター」「中国人以外カウンター」と分けてレジを設定しているほどだ。1回の買い物で1,500万円(約1億5,000ウォン)分の化粧品を購入し、免税店側から「買い物キング」として表彰された中国人客もいる。
中国人観光客のマナーの悪さによって、荒らされる部分もあるが、それでも、「中国人歓迎」をはっきり打ち出した韓国の島がある。それが「済州(チェジュ)島」だ。企業の研修ツアーなどの誘致を積極的に薦め、リゾート、ホテルなどの中国資本も受け入れた。結果、現時点で、島に住む韓国人島民よりも中国人滞在者の数が多くなった。サービス「する」方も「される」方も中国人・・・。済州島旅行で「中国の島に来たの?」と驚く日本人客もいるという。
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