企業・人再生シリーズ(43)
侵略してフランス人が恨まれない理由(後)
<虐殺があっても犬は残る>
カンボジアを廻って「不思議だなぁ」という第1の疑問を抱き続けていた。全国至るところに、犬がぶらぶらと歩き回っている。首都プノンペンの交通ラッシュのところで、あちこちを徘徊しているのだ。誰も犬たちを構う素振りもしない。別に"お犬様"を大切にしているのではなさそうだ。無視しているわけでもない。人様、お犬様が、共に干渉せずに共存している感じなのである。仏教の国であるから、犬を特別視して可愛がる教えがあるわけでもない。
アンコールワット近くにある地雷原の撤去する場所でも目撃した。田舎である。掘っ立て小屋程度の家が林立しているところにも、人間と居住している犬たちが走り廻っていた。30年前には、カンボジアでは内乱が起こり大虐殺が行なわれた。地雷撤去の場所は、その中心部に位置する。内乱の際には、人間様は食事に事欠くこともあったはずだ。犬コロを食肉として食べ尽くしていてもおかしくない極限の事態もあったというのに、お犬様は生き抜いてきた。
そして第2の不思議な疑問が、戯れているお犬様はどうもヨーロッパ出身の雑種ばかりなのである。
<ラオス・ルアンパバーンで閃く>
1580年代までラオス王国の首都であったルアンパバーンを歩いていて、ようやく閃いた。納得できた。この町は、日本でいえば京都のような存在である。メコン川とその支流に囲まれた、自然豊かな風光明媚な都市だ。お寺が数多くあり、僧侶がウロウロしている。早朝、お坊様に地元の方々が托鉢する習慣がまだ定着していて、それが観光化されているのだ。長閑な光景で、強い安堵感を抱く。
そういえばラオスの自慢は、この5年間、殺人事件や自殺が1件も発生していないことだ。当然、お犬様は人間に関心を示さずに、悠然と道路端に寝込んでいる。この風景は、カンボジアと同様である。
そして強烈な印象に残ったのは、このルアンパバーンの観光客の80%は、フランス人とアメリカ人ということである。中国人・韓国人が皆無なのだ(お隣のカンボジア・アンコールワット観光では、この2カ国人が目立つ)。思うに、ヨーロッパの文明価値観と対照的な東洋文明が、このラオス・ルアンパバーンには色濃く残っている。だから、その魅力に惹かれてフランス人が訪れる。また、10万人が常時リゾート滞在するのだ。ただし、これは一説にしか過ぎない。
ルアンパバーンの街並みの裏側を歩くと、フランス人が長期滞在できる住宅設備が充実している様を目撃できる。聞くところによると、食事付きで1日当たり日本円で2,000円とか。1カ月滞在しても6万円、夫婦2人でも12万円である。羨ましい。
ここで、フランス人がラオスに惹かれる2説目を述べよう。ラオスでは(カンボジアも同様)、200年前にフランスでお犬様と人様が共存していた生活習慣が、まだ根強く残余している。フランス人はここに哀愁感を抱いてやってくるというのが2説目である。ラオスの日常生活には、200年前のフランス同様のライフスタイル(犬様との共同生活)が継続されている。ここに、フランス人が侵略しても恨まれない理由がありそうだ。
日本人の老夫婦にお奨めしたい。ラオスは全体的に高原にあり、熱帯地区のように強烈な暑さはない。また、預金金利は13%である。1,000万円預金すれば、130万円の金利収入になる。物価は日本の10分の1である。つまり1,300万円の生活ができる勘定だ。
まだ元気なうちであれば、2年ほどリゾート滞在する価値は十分にある。
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