【特別取材】カンボジア経済視察 活躍する日本の若者
アンコールワットに地雷とポル=ポト。そう、その国はカンボジア。近年は積極的な外国投資の呼び込みと安価で豊富な労働力を背景に安定した経済成長を遂げている。日本企業の進出が相次いでいる同国を視察し、経済を中心に知られざるカンボジアの現状と魅力を報告する。
<躍動する若い力>
カンボジアで奮闘する日本人に出会った。
大規模農業を展開するHUGS代表の黒川治郎氏。事業の中心は農業。パイリンという町に1,000haもの農地でキャッサバ栽培を行なっている。30歳のときに、世界各国を回り、3年半前にカンボジアにたどりついた。そこでカンボジア人の人柄に魅了されたという。農業に加え、養豚もスタート。現在では、プノンペン市内で飲食店を展開するなど、事業の多角化を進めている。プノンペン市内の一角に、日本人経営店舗を集めた「キズナストリート」の完成を目指す。
また31歳という若さで、大阪、東京、香港、カンボジア4カ所で公認会計士事務所を開設している芝清隆氏。カンボジア在住の日本人会計士はただ1人。カンボジアに進出する日本企業をターゲットに客層を広げ、主に企業の節税対策を支援している。2013年に支援した企業は約50社(うち日系が9割)にも上り、着実に実績を残している。
さらに、アルビレックス新潟FCプノンペンの責任者、池田憲昭氏。同チームは今年1月よりカンボジアのプロサッカーリーグ1部に参戦しており、池田氏はチームの運営に奔走している。日本での常識が通じない世界で、壁にぶち当たりながらも、チームとして上位進出を目指す。将来的には、国際貢献を含めた日本のスポーツビジネスの輸出にまで結び付けたいという。タイには元Jリーガーが約60名所属するなど、サッカーでも日本と東南アジアの距離は近づいている。
最後に港町シアヌークビルで日本人経営の飲食店を運営している善倉賢介氏。まだ22歳という若さである。店舗に日本人スタッフはいるものの、従業員はほとんどが現地人。お互いがつたない英語でも、楽しみながらコミュニケーションをとっている。日本でパティシエの勉強をしていたといい、今後は現地を訪れる観光客向けにお土産を開発するのが目標だと言う。
今回紹介した4名はいずれも20代、30代の若者だ。最近の若者は内向き志向が強いと言われるが、異国の地で奮闘する若い力が存在することを知ってほしい。
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