福岡県飯塚市(旧筑穂町)の産業廃棄物処分場に鉛などを含む有害物質が違法に捨てられていた問題で、県は10日、産業廃棄物撤去などに向けた行政代執行に着手した。開始されたのは、処分場に雨水が溜まらないように側溝を作るための測量で、月内には地下に滞留した汚染水対策の井戸を設置する工事に入る予定。工期は今年6月末まで、事業費は合計6,700万円。特に問題視されている鉛の処理については、有識者らによる調査専門委員会で検討する。
同処分場では、2001年8月に処分場周辺の汚水水流出が発覚して以降、行政による現地調査が繰り返され、行政指導などが行なわれた。しかし、一向に進まない廃棄物の処理について、住民らは処分場運営業者の(株)藤宏産業の操業停止の仮処分を申し立て、福岡地裁飯塚支部が04年9月に認めたことで、事実上の廃業状態となっている。また、住人らは違法な廃棄物の撤去を業者に命じる措置命令を出すよう県に義務付けを求めて提訴し、措置命令の義務付けを認めた福岡高裁判決が12年7月に確定。その後、県は同社および経営者らに対しては措置命令を出したが、「履行する見通しがない」と判断したことで、県が運営業者に代わって廃棄物の撤去などを行政代執行する運びとなった。
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