企業・人再生シリーズ（46）
ラオスで、世界で鍛えられ、活躍する日本人（後）
＜家族ぐるみ定着・永住、ラオス計画投資省 上級顧問 鈴木基義氏＞
いまラオス政府が一番、頼りにしている日本人が鈴木基義氏である。
彼のプロフィールは下記のとおりで、2007年４月よりラオス計画省政策顧問に就き、８年には上級顧問に昇格した。ラオスは一段と経済発展を宿命づけられている。経済の成長の為には、ますます鈴木氏のキャリアと役割が高まるばかりである。人柄が良く、大人であるが故にラオス政府関係者には信頼が厚い。本人は公言していないが、聞くところによると契約期間は無期限のようだ。計画省を訪問したが、同氏は50坪の個室を与えられて仕事に没頭していた。
ヴィエンチャンに経済交流にやってきた日本人たちの視察には、必ず立ち会うことにしている。「ラオスの為、日本人の投資の成功実現のため」という強い使命感に燃えているからである。ラオスへの投資に関する相談は鈴木氏に託すことが一番、無難であろう。
私生活においても覚悟を決めている。同氏に言わせると「ラオスに家族ぐるみで永住する。子供たちもこの国から離れることはさせない。こんな生活環境の素晴らしいところは無いだろう。世界一だ」となる。実弟も日本から呼び寄せた。料理人である実弟は日本食の店をオープンした。大繁盛している。鈴木氏は一族・一党でラオスに同化するつもりなのだろう。
＜水力で安価な電力ビジネスを戦略化＞
JICAの専門家として1990年にラオスに赴任して約23年間、ラオスの経済発展に尽力してきた鈴木氏は、中国、韓国などに遅れをとっている日本企業からのラオスへの投資促進に力を注ぐ。「ラオスは人口面では約647万人と少ないというデメリットがあることは認める。しかし、東南アジア、アセアンの中心的な位置にあるという地政学的なメリットは大きい。ラオスはタイ、ベトナム、中国、ミャンマー、カンボジアと国境を接しており、東南アジアを点でなく、面として見た場合、その真ん中にあるラオスに拠点を持っておく利点は大きい」と強調する。
そのラオスの利点の１つは、電力にある。豊富な水資源による水力発電がラオスの国内のエネルギーを支えている。70年代に日本人が建設に協力したナムダム第一ダムのほか、14カ所の水力発電所が稼働。さらに、水力発電のポテンシャルは可能性を秘めており、現在、18カ所のダムが建設中だ。関西電力が昨年８月に進出し、タイとの国境付近にあるナムニアップ川（ヴィエンチャンの北東約150km付近）にダムを建設することを決定。今年から着工されることになった。このナムニアップダムで290MWの発電を行ない、ラオス電力公社、タイ電力公社との間で27年間の長期売電契約を結んだ。関西電力は、日本企業の持つ技術力の提供により、インフラ輸出拡大の貢献も狙っている。鈴木氏に言わせると「ラオスにとって水力発電事業は戦略産業だ」となる。同氏のラオスにおける今後の活躍を期待する。
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＜プロフィール＞
鈴木 基義
広島大学・大学院国際協力研究科教授・経済学博士。神戸商科大学(現・兵庫県立大学)卒、神戸市外国語大学第二部英米学科卒、神戸商科大学大学院経済学研究科博士課程修了、タイ国立タマサート大学大学院経済学研究科修了。1989年三重大学人文学部講師、1991年同大助教授、在ラオス日本国大使館専門調査員、国連地域開発センター客員研究員、社団法人研究情報基金企画研究部長、タイ国立タマサート大学大学院客員教授、1998年三重大学教授を経て、2002年より鈴鹿国際大学学長。2006年ガーナ財務・経済計画省経済顧問(JICA)、2007年４月よりラオス計画投資省政策顧問。2008年より現職。鈴鹿国際大学名誉教授。
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