福岡市は、150万の人口を有し、大阪以西では最大の都市だ。企業や行政機関に加え、大学・専門学校なども多い。若い人が多い活力ある街という印象を持たれている。一方、車で30分も走れば、自然あふれる地域が広がり、退職後は、福岡市に移住したいと考える人も少なくない。しかし、その福岡市の市政はというと、飲酒運転をはじめ市職員の不祥事が絶えず、その根本原因の1つが、高島宗一郎市長の資質・姿勢にあるという声が高まっている。二元代表である議会はどのように考えているのか。今回は、みらい福岡代表の笠康雄市議に話を聞いた。
<都市間競争に負けてよいのか>
――改革すべき点を福岡市は多く持っています。
笠 与党だから、何も言わないというわけではない。そこは、なぜ議員になったのかという原点にもかかわる問題です。我々議員は当選することが最終目標でありませんから。さらに、私たちの会派は国の既存の政党に直結していないので、党勢拡大をやろうという意識はありません。
むしろ福岡でもっともっと公明正大に公金が使われて、活力が増して、他の都市よりも住みやすい街になることを第一に考えています。そして福岡の地方政治をよくしたい。その第一歩が行財政改革です。たとえば、志賀島航路を民営化しましょうとか具体的に書いています。行革を言うと票は減りますが。給食調理員や区役所の黒塗りの運転手もこれまた高い。民営化によって浮いたお金を、選択と集中でより投資効果が大きいところに入れていこうと考えています。
福岡市は市民一人当たりの職員数が政令市の中で一番少ないと自慢しています。しかし嘱託や非正規職員を含めた総人件費で比較しないと、実態が明らかになりません。ところが非正規職員の給与は物件費に入れています。物件費とは、コピー機とかパソコンと同じ類です。これでは人件費の内訳がなかなかわかりません。嘱託など非正規職員も入れた部分で、判断しなければわかりません。
どこを削って効率的経営を行うのかが大事で、「小さな行政体」をつくらないといけません。ほとんど知られていませんが、市営渡船の船員さんの給与は約900万円です。浮いたお金を効果が出る部分に集中的に投下していく。このことが大切です。また、一人当たりの市債残高が減っているのは、市の人口が増えているからかもしれません。実態を見なければいけません。みらい福岡にとって行財政改革は、一丁目一番地です。私どもの提案は殆ど通っています。給食センターの民営化も実現しつつあります。市役所の守衛も民間に移行して態度がすごくよくなりました。現在、区役所の警備員民間委託を進めています。
しかし、こういう改革の効果は、市民の目になかなか見えにくい。でも、そういうことを着実にやっていこうと考えています。パフォーマンスをやるつもりはありません。フレキシブルな行政体を作っていきます。そうしないと、このままでは福岡市は都市間競争に負けてしまいます。
<ポピュリズムの弊害>
私たちの会派は、「改革」に取り組んでいます。そして確実にその成果は形として現れています。一つ一つ着実に取り組んでいるからです。それをパフォーマンスとして対外的に出さないだけです。結果として形を残すことが重要です。だから議長に議会改革を、市長へは行財政改革の申し入れをしてきました。学校用務員のセンター化、自動車運転業務の廃止。いずれも私たちが求めてきたことです。区長の公用車の運転手や区役所の警備業務の民営化。ほぼこの方向性で審議しています。私たちは当然賛成です。
最近、選挙がポピュリズムに走ることへの弊害がありますが、おかしいと思っています。じっくりと時間をかけながら地道に良識ある市民の皆様方へ我々の政策を分かるようにしたいと思います。
私たちの会派は、政策だけで結びついています。政策の効果により税収が増えれば、いずれ社会が認めてくれるだろうと思います。政治離れがポピュリズムに走る。そうなれば負のスパイラルに陥ります。政策をしっかりと形の上で残していこうと改革を掲げると、いろいろと困難な場面に直面します。しかし、職員の定数を削減するなど、痛みを市民に求める以上、我々議員も議員報酬の削減や議会費による海外視察の廃止など痛みを共有する必要があり、また覚悟を持って政治に取り組んでまいります。
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